無意識さんとともに

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砂糖漬け

思えば、小さな頃から砂糖漬けだった。

ご飯がまともに3食出たことがなくて、緑と白のマーブルの大きな円筒形の缶を持たされて、ビスケットやらチョコレートやらが主食だった。

幼稚園のお弁当の時にさえ、渡されたのはパンに甘いイチゴジャムを挟んだサンドイッチ。

病気になると、母親が買ってくるのは、アンパン、クリームパン、チョコパン。「卵サンドなかったの?」と言っても、「売ってなかったよ」と白々しい嘘をつく。

砂糖たっぷりの食事とも言えない食事で、父親は糖尿病で亡くなり、母親自身も、年老いても菓子パンを食べる生活で認知症になり、亡くなった。

身体にはたっぷりの砂糖がふりかけられただけではない。

わたしの名前にも、砂糖がふりかけられていたのかもしれない。

本名に入っている漢字は、「優しい子になるように」という願いを込めてつけられたと言う。

誰にとって優しい子かというと、母親にとってである。

ことあるごとに、「お前は優しい子だからね」と暗示のように、母は私の心に砂糖をまぶしていたのかもしれない。

そうやって、ついには、母が好むアンパンと同じように、私も母に食い尽くされることになったのかもしれない。

私は、プロラクチンばりばりの人になったが、もうこれまでだ。

もう、麻薬のような白い粉はいらない、おさらばだ。