無意識さんとともに

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スクリプト小説 AとBとC

AとBとC 第三回〜Hとの出会い

A1 Hと初めて会ったのは、大学での最初の授業のことだった。高校とは違う灰色のただただ広い教室に座っていた時のこと。 「こう言うものですが、以後お見知りおきを。」 と自家製の名刺を差し出しながら、いきなり話しかけてきた。 反射的に受け取った名刺…

AとBとC 第二回〜学生ホールにて

A1C 学生会館は、左手にある灰色のコンクリート剥き出しの無骨な建物だった。カツカツカツと、靴音を響かせて中に入ると、蛍光灯がついているが、ちょっと薄暗い感じがした。 三階に学生ホールがある。といっても、安っぽい大きめのテーブルと椅子が無造作…

AとBとC 第一回〜書庫にて

A1C 大学の図書館の地下にある書庫室で、一般には貸し出されていない本が並んでいた。ひっそりとして、微かに聞こえる空調の音以外は何もしなかった。古い本独特の少しカビ臭い匂いが充満していた。 そこだけが新しい木製の検索カードをめくった。心の中で…