2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧
支配者とは、支配することがお仕事だと言われる。 そこには、善悪という切り分けは入り込む余地がない。 支配者が悪であって、虚無や光の人が善ということではない。 そういう善悪という切り分けなしに、支配者はただ支配するのである。 支配者が支配する時…
女性が先立って入り、パチンとライトをつけた。 明かりがつくと、昼間なのにカーテンは完全に閉められており、6畳ぐらいの洋室のフローリングの中央に、直接、布団が敷かれていて、たっちゃんはパジャマ姿で向こうを見ながら座っていた。 あたりには、『敵…
ディズニーランドに着いて、まずしたかったのがシンデレラ城の前で写真を撮ることだった。何よりもうえっちと一緒の写真を撮りたかった。 うえっちは何だかごついカメラを持ってきていた。 手つきが慣れずたどたどしい、それが何だか可愛らしい。 『ああ、自…
僕は、神谷先生のテープを、貪るように次から次へと聴いた。 そして、聴けば聴くほど夢心地になっているかのように感じられた。 それだけではない、僕も神の底知れない愛を知ったのだから、僕も徹底的な愛の人になろうと決心した。 そんな時、またたっちゃん…
それから、ディズニーランドに着いたのが、午前10時ぐらいだった。 結構、並んでいて入場するのに時間がかかった。 「まず、どこに行きたい?」 「わたしはシンデレラ城の前で写真が撮りたいな」 同じことを考えている人が結構いるのか、シンデレラ城の前に…
カウンセリングでも催眠でも、誰かに依存してアドバイスを受けたりエネルギーをもらったりするのではなく、無意識の中にある自分のリソースと能力を見つけることが目的である。 だとすれば、自分のリソースと能力を見つけるだけではなく、それらを活かして用…
少し高めの声が語り出す。 「聖書には、『神は愛である』と書いてあります。神は徹底的な愛なのです。この神以外にどこにも愛はない。愛は私たちのうちにはない、ただ神のうちにだけあるのです。 けれど、神の怒りについてお聞きになったことがおありになる…
『これで最後のデートかあ』 わたしは鏡を見ながら、髪をブラッシングしている。 付き合ってからデートとらしいものはしていない。だから、これはうえっちと再会して付き合ってから最初で最後のデートになる。 わたしはちょっと落ち込みそうになる。 『自分…
僕は、ショックで、教会はもとより学校にも行けなくなった。 ほとんど部屋に引きこもって、布団の中に潜り込んでいた。 自分は神に呪われている、そういう感じが否定しても否定しても、湧き上がってきてしまう、たっちゃんの冷笑した顔と共に。 母は、最初、…
日曜日、午前8時に、ぼくとはまっちは秋津駅で待ち合わせた。 秋もいよいよ本番の装いを見せて、街路樹も赤や黄に染まっていた。 ぼくが電車から降りて改札口に近づくと、はまっちはすでに改札口のところで待っていた。 白いベレー帽を被り、デニムのジャケ…
鏡 私は鏡、私の目の前には家のキッチンへとつながるドアがある。 私は自分が何なのかわからない、私はそこにあるものを映すだけだから。 ドアがギィと開いて、赤ちゃんを抱いた若いお母さんがやってきた。 赤ちゃんの甘いミルクの匂いが漂ってくる。 私は腕…
最初のうちは、人に頼ることはしかたない。 しかし、いつまでもそういうことに頼る必要はない、あるいはあらゆる場合に人に頼る必要はない。 というのは、私たちのうちには、無限のエネルギー源としての無意識がいてくださり、無意識の中に隠されたリソース…
たっちゃんは、僕と目が合うと、にこやかに微笑んできた。 けれど、僕は心臓が鷲掴みにされたようで、寒気がしてくる。 たっちゃんは、僕と同じ中学生のはずなのに、真っ白なスーツの上下に身を包んでいた。 さらに、後ろについてきている小中学生たちに合図…
うえっちとお付き合いするのをやめようと思うと告げた時、うえっちは何だか小さな男の子のように見えた。 そして、自分が小さな男の子を置いて家を出ていく母親のような気がして、心が咎めた。 『お母さん、ぼくを置いていかないで、ぼくをひとりにしないで…
クエリは、別名、中指ビンゴとも言われる。 (詳しくは、「本当の私よ、こんにちは」(大嶋信頼)参照) 具体的なことを聞いて、手をぶらぶらと振り、指が曲がるかどうかで自分の心の言いたいことを探っていく。 最初は、よくわからない。 指が曲がったとい…
そんなある日曜日、教会にも行かないで、僕は家でごろごろとしていた。母と小学生の妹は、もちろん、礼拝に出かけている。 手持ちの本も漫画も読んでしまった。面白いテレビ番組もない。 テレビの脇に置いてあるマガジンラックの中に、キリスト教雑誌が無造…
佐伯さんは、なぜかちょっと元気が出たようだ。理由はわかるような、わからないような。 「私もちょっと用があるから」 そう言って、立ち上がり、ぼくははまっちとふたりきりになった。 今度は、佐伯さんの座っていたところに、ぼくが座り、ぼくたちは向かい…
詳しいことは、https://normal-happy.info/spell-matome/ のホームページを参照すれば十二分な情報が書かれているので、私は総論を書いておこうと思う。 呪文や遺伝子コードはまず何かということだけれども、これは単純に言って、『短縮化された催眠スクリプ…
藤堂さんの催眠を受けて家に帰ると、左足から何かが外れているような気がした。 そこにあるぼろぼろになったミサンガ、何度も何度も糸で補強したミサンガがついには完全に切れてしまったのだ。 うえっちと交換して左足につけたミサンガが切れたという事は… …
僕は流花ちゃんの手を取って、そのまま公民館を出た。 けれども、まだ小学校6年生の僕たちが行けるところなどたかが知れている。 『僕たちが大人だったら…、このまま、ふたりでどこかに逃げてしまうのに』 大変な状態なのに、いやむしろ大変状態だからこそ…
『心に聞く』とは、自分の心に聞くのである。 神様に聞くのでもなく、宇宙に聞くのでもない。 自分の心に聞くとは、ある意味、不思議なことである。 なぜなら、自分の心なので、あえて聞かなくても、自分の心の言うことぐらいわかりそうであるから。 聞くま…
何だかまずい展開になったような気がしてどぎまぎする。何がまずいのかは、頭でははっきりわからないが。 「わたしも座っていい?」 「うん、いいよ。みんなもいいかな?」 ポーカーフェイスを装いながら、ぼくは言う。 みんなは、佐伯さんも含めて、頷く。 …
『アナテマ』とは聖絶、また呪われよという意味である。 旧約聖書によると、神はカナンの地に入ったイスラエルの民に、神は自分を信じない異教の民は男も女も子どもも容赦なく残らず殺せと言ったという。 そのことが聖絶と言われる。 そうして、キリスト教が…
タイトルに書いたのは、『人はみな妄想する』(松本卓也 p.405)というラカンの研究書の言葉である。 なんでも、ジェームズ・ジョイスというイギリスの作家はフィネガンズ・ウェイク(翻訳することが不可能な小説と言われている)を書くことによって、自身の…
教会は、僕にとって、生き地獄みたいなところになったが、流花ちゃんがそこにいると思うと僕は何とかギリギリ行くことができた。 『流花ちゃんは僕を赦してくれた、流花ちゃんは僕に怒っていない』 その思いが一服の清涼剤のように胸の中に広がる。 あの告白…
結局、どこに行こうかと迷ったあげく、いつも行っているファミレスに落ち着いた。中学生のお小遣いで無理がないような店は、舌を出している女の子の人形がお出迎えをしてくれるあそこしかなかった。 いつもの受付の人に案内されて、いつもの窓際の席に着く。…
無意識の活性化のための3番目のことは、大嶋先生のブログ、無意識の旅、本などを聞いたり、読んだりすることである。 もちろん、大嶋先生のものとは限らない、吉本先生のCDや本、エリクソンの動画や本でもいい。 そういったものを読む目的は2つある。 ひと…
藤堂さんは言った。 「背もたれに体をゆったり預けて、両手を膝の上に置いていただけますか?それから、軽く、目を閉じていただけるでしょうか?」 「始めさせていただきます。 自分の吸う息、吐く息に注目していると、 知らず知らず、あなたの意識は私の声…
「優君、大丈夫?」 流花ちゃんは、黙っている僕を心配そうに見つめる。 あんな汚らわしいことを流花ちゃんにした僕を嫌わずに話しかけてくれるのか? それだけで、僕は号泣したくなった。 「立花さん、僕は」 心の中では、流花ちゃんと呼んでいたが、そう口…
将棋指し 私は、将棋指し、棋士だ。 今、目の前に見えるのは、けやきの木でできた将棋盤。 そして、脇には、先人たちの棋譜。 将棋の駒を取って並べると、パチリと音が響く。 心にも音のこだまが響いている感じがする。 名人の棋譜を見て、その通りに相手の…