無意識さんとともに

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2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

黎明〜鬱からの回復 30 間違い探し

日曜日がやって来た。 竜宮城のような格好をした駅から降りると、光が眩しく目に飛び込んでくる。 一緒に降り立った家族連れは、幼い子供を真ん中に手をつないでいている。聞こうとしなくても聞こえてくる「イルカさん」という言葉からすると、たぶん、水族…

催眠の現象学26 待ちぼうけから歩み出す

昨日のリフレクティングチームによるオープンダイアログで、私がクライアント役をさせていただきました。 私が話した悩みは「人に嫌われるのがこわい」ということでした。 ブログでこのテーマでつい最近も書いたことがあるし、一応の解決は得たようなつもり…

黎明〜鬱からの回復 29 トンネルの向こう

それから、ずっと日曜日が来るまで、私は部屋の外に行くことができなかった。ただ、閉じこもって、電気をつけることもしなかった。 闇の中で蠢く虫のように、光が怖かった。 もし、外に出たら、誰にも彼にも「裏切り者」と言われるような気がしてならなかっ…

催眠の現象学25  内臓の声を聞く

私は、もう中高生時代からずっと、頭だけで生きているみたいな人間だったと思います。 なんか、いつも体があることなんて忘れていて、いや、それどころかむしろ、体なんてない方がいい、天使みたいになれたらなんて思ってきたのです。 自分がキリスト教に入…

催眠の現象学24 人に嫌われるのがこわい

自分が人のメールにすぐ返事を出すとは限らないのに、自分が書いたメールに返事がなかなか来ないとなると、胸がしくしく痛み出します。 あるいは、自分の書いたつぶやきに『いいね』がゼロの時もそうです。 そんな時、頭の中によぎるのは、自分は相手に、あ…

黎明〜鬱からの回復 28 メール

私は、それから数回続けて、オアシスクリチャンフェローシップに通った。 教会のドアを開けて中に入り、そこにいる人たちの微笑みに迎えられると、脱力して本当にホッとする感じだった。 そのせいなのかどうなのか、あれほど割れるような痛みも幾分、おさま…

催眠の現象学23 レッテル貼りに代わるもの

「このツールの実証性について科学的根拠やデータを持っているわけではありませんが、リフレクソロジー(反射療法)は、中国で生まれて以来5千年の歴史があるとされています。道教の流れを汲んでいるという説もありますが、インカ帝国や古代中国で行われて…

黎明〜鬱からの回復 27 オアシス?

発作がおさまって、目を開けてみると、皆が私の顔を覗き込んでいて、なんだかすごくバツが悪かった。 「大丈夫?しばらく動かないでじっとしていたほうがいいわ」 私に紙袋を渡してくれた小柄な女性がそう言った。 「ヨシコ先生、食事の準備をしてもいいです…

催眠の現象学22 恐れ

恐れは最大のチャンスなのかもしれない。 支配から逃れようとして、支配が緩んでいろいろな症状がよくなってくると、支配者はありとあらゆる手を使って、自分の力の範囲内から自分の獲物が出ていかなようにする。 恐れもそのひとつだ。 何度も書いているよう…

黎明〜鬱からの回復 26 発作

最初は有給を消化していって、その次に、私は休職することになった。 「どこか、他の教会に行ってみたらいいんじゃない?礼拝に出ないと力が出ないよ」 そんなふうに、電話で光は呑気なことを言う。 だから、安全そうな他の教会を探し、日曜日に、鉛のように…

夢のかけら

女の子は、そのこじんまりした小さなブランコと大きなブランコしかないところで遊んでいたんです。 女の子は髪をおさげにして、赤いジャンパースカートを身につけていました。 見回しても、誰もそこにはいないのです。 一瞬ためらわれましたが、静かなそこに…

催眠の現象学21 無意識さんと常時接続?

「私は無意識さんと常時接続なんです」と、以前、ある人に言われた時、私は『そんなことあるわけない』と思って、色めき立ちました。 けれど、今考えると、この方が言ったことはそのとおりだと思います。 私が無意識さんとつながっていると意識していなくて…

黎明〜鬱からの回復 25 発症

光は三重に帰っていった。 私は帰るべきところを失った気がしてならなかった。もちろん、自分の親のいる家はあったけれど、そこは私のホームではなかった。 もちろん、あんなことを言われて教会にのうのうと行くことはできなかった。 けれど、それだけではな…

催眠の現象学20 緩む

ある人への返事として書いた文章です。…おっしゃる通りですね。 心を緩める催眠(現代催眠、エリクソニアン催眠…)もあれば、体を緩める催眠(レイキ、気功、ヨガ、各種ボディワーク…)もあると思っているのです。 もちろん、心と体はつながっているので、心…

催眠の現象学19 人とネットワークでつながる?

小さな頃から、人の輪に決して加わらず、孤高というか、変人の地位をしっかり守ってきました。 もちろんのこと、人の輪に加わりたいと思わなかったわけでもないです。 幼稚園の頃、新幹線の乗り物があって、みんなはそれで電車ごっこをするのですが、一度乗…

黎明〜鬱からの回復 24 塩の柱になる前に

私と光は、まるで原爆投下後の地を彷徨う幽霊のようだった。 『長崎のあの大浦天主堂でミサをあげていた信者の上に、原爆が炸裂した時、そこにいた信者たち、男も女も幼いものたちも、その一瞬のことに『神様』と呼ぶことができたのだろうか?』 私は、荷物…

催眠の現象学18 チューニング会

昨日は、ZOOMである方の発案による即席チューニング会に参加させていただきました。 参加させていただきましたと書きましたが、この方が「チューニングやってみましょう」と言われたので、自然に始まった感じです。 普通のチューニングと違って、ひとりの方…

黎明〜鬱からの回復 23 炸裂

「入りなさい」 冷たい声が鳴り響いて、私はドアを開けた。 中には、テーブルとソファがあって、牧師が正面に座っていた。 信徒用の相部屋とは随分と違う。 「座りなさい」 私たちはソファに並んで座った。 ソファに座ると、光がいきなり口火を切った。 「私…

催眠の現象学17 ミルトン・エリクソンの革新性

天動説が地動説に変わるように、ミルトン・エリクソンは催眠の世界においてコペルニクス的転回を果たしたのは間違いないように思われます。 それまでの催眠においては、意識→無意識という方向だったのが、エリクソンに至って、無意識→意識という方向に逆転し…

黎明〜鬱からの回復 22 拷問

私はあの黴臭い牧師室にまた呼ばれた。 私から報告を聞くためだった。 「何か、彼らは話していたかね」 私は肝心なこと、つまり、岡田姉妹からの提案を除いて、どうでもいいことだけ正直に話した。話しながらも、牧師に心が読み取られるのではないかと胃がキ…

催眠の現象学16 過去の改変

記憶は流れるのかもしれません、過去から現在を通って未来へ、また、未来から現在を通って過去へと。 小説を自分のために書いていますが、面白いことが我と我が身に起こっている気がします。 最初に書いた小説は自分の体験が70%ぐらいで、2作目、3作目…と…

黎明〜鬱からの回復 21 提案

窓際の席から通りの方を見ると、もう日が暮れかかっているせいだろうか、人通りも少ない。わずかにいる人たちも足早に家路を急いでいるようだ。 「私は、もう限界だと思うんです」 岡田姉妹の声で私は視線をあわてて戻した。 「どういうこと?」 種崎兄弟が…

催眠の現象学15 トランス中毒?

自己催眠ができるようになると、もう、いつでもどこでも自分に催眠をかけてトランスに入ることができます。 ミルトン・エリクソンの晩年の弟子であるW・H・オハンロンは、「自分はトランス中毒です」(「ミルトン・エリクソンの催眠療法入門」)と言っていま…

催眠の現象学14 セルフヒーリング

塩分過多の食事を提供される家庭で育てられたためなのか、小さな頃からすでに高血圧に悩んできました。 会社の検診で、血圧も測ると思いますが、私の血圧があまりに高いので医者が間違っているのではないかと驚き、看護師に何回となく計り直され、私の方と言…