無意識さんとともに

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青青の時代を読んで

人に教えられて、「青青(あお)の時代」(山岸涼子)という漫画を読んだ。

あらかじめ文庫版の方の解説のコピーをいただいて読ませてもらっていたので、大方の筋は分かっていた。

 

(以下、ところどころ、ネタバレを含みます。)

 

三人の不思議な能力を持つとされる人物が出てくる。

巫女王ヒミコ(日女子)、その姉のヒルメ(日女)、ヒルメの孫とされているイヨ(壱与)である。

 

ヒミコはあらゆる手練手管を使って、権力を維持しようとする。実は能力と言っても、太占(ふとまに)を用いた占いぐらいしかできず、姉であるヒルメを嫉妬していた。また、死んだ胎児を食らって若さを維持している。

 

ヒルメは真に神の声を聞くことができ、自然と交わり、燃える炭の上を歩くなどの奇跡を行う人物であったが、権力を嫌い、聞こえさま(巫女王)の地位を逃れ、放浪し、狂人の聖人と成り果てている。

 

イヨはヒルメのお世話をして生きてきたが、ヒルメが亡くなった後、ヒミコの権謀術数の波に巻き込まれるようになる。沸騰したお湯に手を入れても火傷をしないなどの奇跡を起こすが、それについてはよく覚えていず、超能力のように再現することはできず、またそれは誰にもある能力だと言っている。

 

ヒミコは破壊欲動の人である。言い換えれば、権力を求める人である。国を守るはずの聞こえさまであるのに、その破壊欲動のために我が国さえも売ってしまう。

ヒルメは性欲動の人である。言い換えれば、聖と愛の人である。神とひとつになり、自然とひとつになり、しかし、一切の世的なものを厭い退けるために、この世を渡っていく術を持たない。

 

しかし、ヒミコとヒルメはコインの裏表なのかもしれない。それが証拠に、ヒミコはヒルメに嫉妬し、ヒルメは未来への恐怖を拭い去ることはできない。

 

そして、イヨは無意識の人である。イヨは島で乱暴されて処女を失っているために巫女に離れない、しかし、日常でまた特に身の危険を感じた時、不思議な力が現れる。イヨはその力を自分で利用することはできないし、その力とひとつになることを求めてこの世を捨てるわけでもない。

 

まさに、そういう力とは、無意識さんの力だと言えるのではないか。