無意識さんとともに

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催眠!青春!オルタナティヴストーリー 16〜不思議

目が覚めた。ぼくの左側には綺麗すぎないはまっちがテーブルに伏せっていた。

そして、おそらくぼくもカッコよすぎないぼくなのだろう。

『今のは何だったんだろう。夢なんだろうけど…』

そう思っているうちに、はまっちも目を覚まして起き上がった。顔左半分を押さえていたハンカチがはらりと落ちた。

「あっ」

そこにあっただろう腫れはなくなっていた。

「何もないよ」

「どういう意味?」

はまっちは右手で顔の左半分を撫でた。

「あれっ、おかしいな」

「綺麗すぎないいつものはまっちだよ」

「えっ」

ぼくは赤面した。

「なんか、おかしなこと言った?」

「そうじゃなくて、今言った言葉と逆のこと…」

ぼくもハッとして、

「『はまっちにしては綺麗すぎる』ということ?」

「うん」

「もしかして、同じ夢を見てたということ?」

お互いに夢見てた内容を言ってみると、本当に同じ夢だった。しかも、はまっちの顔の腫れがひいているのはどうしてなんだろう。

この小屋に何か特別な力でもあるのだろうか。

ぼくたちはちょっと怖くなった。

 

けれど、ぼくたちはずっと怖がっているには幼すぎた。

はまっちは、急に真剣な顔つきになって、ぼくの目をまっすぐ見つめて言う。

「お腹空かない?」

気がつけば、もう給食の時間だった。学校にいれば、美味しい給食が食べられたのにとちょっと思ってしまった。

「でも、お金ないよ」

はまっちは、左側にかがんで紺色のボストンバッグから何か取り出した。

「じゃん!」

あろうことか、豚の貯金箱だった。

「ダセェ貯金箱だなあ」

はまっちは頬をプーと膨らました。表情が何とも可愛らしい。

「じゃあ、飢え死にしなさいね」

はまっちは貯金箱を引っ込めるふりをした。

「ウソウソ、お願い、はまっち樣」

ぼくは大袈裟に手を合わせてはまっちにお願いした。はまっちは演技の膨れ顔をほどいて、愉快そうに笑った。

「でも、準備いいね」

はまっちは視線を下に下ろして、

「ダセェ上履きで外を出歩いている人とは違うからね」

ぼくもその言葉がどストライクでツボに入ってしまったのか、笑いが噴き出して止まらなくなった。

何だか感じたことのないほど、幸せだった。