無意識さんとともに

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催眠!青春!オルタナティヴストーリー 8

ぼくたちはしばらくただ黙っていた。

それから、ぼくはバッグから赤い小さな箱を取り出してテーブルの上に置いた。

「ウノ!」

「うん、やる?」

「やるよ」

ぼくはぎこちない手つきでカードを混ぜた。高村君みたいにかっこよくカードをシャッフルできたら、練習しておけばよかったと思ったが、後の祭りだった。カードを配り終えて、始めると、そこにはいつものはまっちがいた。

「ドローフォー」

「ちょっと、待って。先から続けざまにドローフォー出してるんだけど」

「いいじゃない、そういうゲームなんだから」

「まあ、そりゃそうだけど、手加減というものを知らないの?」

「手加減したら、うえっちに失礼でしょ」

 

5回勝負で、結局、3勝2敗でぼくが負けた。

「負けた方が罰ゲームね」

「罰ゲームなんて聞いてないよ」

「罰ゲームがなかったらゲームなんてやるもんじゃないわ」

「そうなの?」

「そうよ。じゃあ、夏だし、うえっちが怖い話をしてよ、うーんと怖い話」

 

『怖い話、怖い話…なんかあったかなあ。そうだ』

 

「えーと、これは内緒なんだけど、高村君と家でいたずら電話をして遊んでいた時…」

「わっ、犯罪だあ」

はまっちはさも面白そうに顔を輝かせた。

「うーん、その時、適当な番号に電話をかけて、『今、何時?』っていたずらを最初してたんだけど、案外、まともに『今、何時何分よ、これからは117にかけなさい』なんて答えが返って来ちゃったからね…」

「それでどうしたの?」

「それでね、今度はやはり知らない家に電話して、『ここは地獄の一丁目だあ』とかできるだけ怖い声で相手を脅かして」

「超迷惑」

「話の腰を折るなよ。…そしたら、電話の向こう側にいる女の人が、泣きそうな掠れた声で、『さくら、さくらあ…』と歌い出したんだ。ぼくと高村君は、ゾッとして急いで電話を切ったんだ」

「何それ、全然怖くないわ」

「じゃあ、今度は、わたしの番。ほんとに怖い話よ」

顔つきが変わってまたあのはまっちになった。

「この話は、決して誰にも言わないで。言ったら呪われるから。秘密の中の秘密よ。約束してくれる?」

「うん」

それ以外の返事が何かあっただろうか。

「覚悟はいい?」

「…うん」