無意識さんとともに

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嵐の中で

フロイトは、無意識を発見してコペルニクス的転回を引き起こした。フロイト以前とフロイト以後で、心に対する捉え方はまるきり変わってしまったと言えるだろう。

フロイトユダヤ人だったが、この発見をユダヤ人にだけ留めておきたくはなかった。そして、年下のユングを自分の作った組織の長に据え、まるで息子のように思い、自分の心理学を託すプリンスとして扱った。

けれど、ユングフロイトに離反して、新しい心理学を生み出した。

そして、ユングだけではない、フロイトと弟子たちの間にはなんとも言えない愛憎劇が繰り返された。

一般の社会では表面には浮かび上がってこないが、カウンセラーとクライアントの間だけではなく、心を取り扱おうとするとグループの中でも、そのようなことは当然ながら、起きてくるようだ。

嫉妬、足の引っ張り合い、批判、陰口、理想化とこき下ろし、転移、逆転移、陽性転移、陰性転移、親子関係の再上演…

人間の内側にあるものが、どろどろしたものが、闇が出てくる。

使われなかった井戸にきれいな誘い水を入れるとまず泥が噴き出してくるように、光を当てるとそこにある闇が明らかになるように。

噴き出た泥はそこにあるきれいな水を指し示し、明らかになった闇はそこにある輝く光を証する。
私たちは、そういう嵐がなければ無意識さんに頼るということはないのかもしれない。
嵐の中で、無意識さんに頼って前に進むか、それとも後戻りするか、それは本人に任されている。
正解も不正解もない。誰も責めるものもいない。

それでも、進みたいと思うなら無意識さんに頼ってただ進むだけだ。