心にトラウマを抱えていない人など、ひとりもいない。
だから、治療者が、カウンセラーが、セラピストがトラウマなど持っていないように振る舞うならば、自分が神であろうとする神化の道を歩んでいると言えよう。
ということは、誰も「傷ついた癒し手」である。
「傷ついた癒し手」は傷ついた人が自分を癒すのにきっかけを与えるにすぎない。
けれども、「傷ついた癒し手」は人を助けることで、自分を癒すことはできない。
人の中に、傷ついた自分を見て、その人がその人自身を癒すきっかけを与えたところで、それは自分を癒すことには決してならない。
自分のトラウマは人のトラウマが癒やされることで、増えもしなければ減りもしない。