無意識さんとともに

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AとBとC 第八回〜蛮行

A1

 

今、考えると青春の黒歴史なのかもしれないが、時々、私はプラトンアカデミアの面々と蛮行としか思えないようなことに及んだ。

 

メンバーはなぜかアルコールを飲むことはなかったが、学生会館の哲学会室でジュースを酌み交わし議論や雑談に耽り、日も暮れてくると、何だか気分がとてつもなく高揚してくるのだった。

 

そうして、思わず部屋から飛び出て、外階段を上っていく。

その途中で、真面目に授業を受けている二部の学生たちに向かってガラス越しに手を振ってみて笑い転げる、屋上に行って大声でアニメの歌を歌いまくるなどという振る舞いに出た。

その内、何だかそれに物足りなくなって、もはやジュースを飲んでもいず、夜でもなかったが、飯田橋の交番の前の人だかりも多いところで、いきなり説教を始めるようなこともしてみた。

「みなさん、私の話を聞いてください。イエスはみなさんの罪のために十字架につけられました。みなさんの身代わりになって死なれたのです。このイエスを自分の救い主として信じることによってみなさんは救われます。」などとさも本気のように(半ば本気だったが)、行き交う人に語りかける。

聞いた人はみんな、ビクんとして足早に立ち去る。

その様子が面白くて、私たちはまたまた笑い転げる。

迷惑極まりないことであるし、よくお巡りさんに注意されなかったと思うが、それが私たちのリビードの発露だったのかと思うと、ちょっと哀れでもある。

クリスマスにはお堀端にいるカップルに、Oとクリスマスキャンドルの真似をしてわざわざ蝋燭を持ち運びながら、讃美歌を歌いながら通り過ぎて、ギョッとする顔を見て喜んだが、思い返してみると、ますますリビードの解消、ありていに言えば、彼女もいない男の僻みと思えなくもない。

 

しかし、そのうち、私たちの蛮行はさらにエスカレートしていくのである。