無意識さんとともに

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AとBとC 第二十三回〜決壊

B2

 

まるで自分が天使になったような、地面から体が浮いているような気持ちを過ごした後、私は再び、地獄に引き戻された。

 

何がきっかけかは覚えていない。

 

母は私の心に爆弾を投げ込む達人だった。

その日も、何かを言われて私は黙り込んで母の言葉を受け流していたが、そうすればそうするほど、まるで絨毯爆撃のように、息も付かせぬほど次から次へと言葉の爆弾を投げ込んでくる。

ついには、私が一言言い返すと、母は「そら、見たことか」と得意そうに呟く。

そこからは、もうダムが決壊したように怒りが溢れてくる。

「どうして分かってくれないんだ!」

怒りは沸騰し、殴ることができるものなら母を殴りたくなる。けれど、殴ることはできなくて、私は拳をガラス窓に叩きつける(その時、右の小指に食い込んだガラス片は今も健在だ)。

「このキチガイ!」

母は蔑みの眼差しで、私が小さな頃から言われ続けた言葉を鋭い矢のように射る。

その矢は、まさに私の胸を射抜いて、私ははっとする。

 

『自分はキリストを信じて、やっと真人間になったのではなかったのか』

怒りはいつの間にか、母から自分へと向かい後悔に苛まれる。

『だめだ、だめだ、だめだ』

心の無数の傷から血が噴き出しているように感じて、いたたまれず、部屋に飛び込み、明かりを消して布団に潜り込む。

そして、キッパリ辞めたはずの常習者が覚醒剤に震える手を伸ばすように、なくなったはずの性的妄想に耽り込む。

『私は再び、何もかもなくして、天使から堕天使に悪魔になってしまった』

その後、私は布団の上で悶え苦しみ、膝を折って祈る。

『主よ、こんな罪人の私を憐れんでください、罪しかない私を許してください』

 

天使から悪魔へ、また悪魔から天使へ、生から死へ、また死から生へと、性欲動から破壊欲動へ、また破壊欲動から性欲動へ、その繰り返し、乱高下を繰り返すジェットコースターだった。

 

そして、天使になりたくて、私はますますもっと強い思想、もっと効果のあるキリスト教を求めていった。

 

しかし、このぐるぐるから完全に逃れることはできなかった。

 

その日、私は、「沈黙」という映画を見た。そして何とも言えない絶望に駆られた私は、それまでほとんど酒を飲んだこともなかったのに、ウィスキーをまるまる1瓶、ストレートで飲み干した。

 

泣きながら、ひとり、自分の部屋で叫んでいた。

 

「神よ、あなたはどこにいるのですか?

エスよ、あなたはどこにいるのですか?

神よ、イエスよ…」

 

私は千鳥足で意識もなくなりながら、叫び続けていた。

 

その答えがあったのかなかったのかはわからない。

ただ、母のいい笑いものになっただけだった。