イエスはかなりの毒舌であるのかもしれない。
「豚に真珠を与えてはならない。それを足で踏みにじり、向き直ってあなたに噛みついてくるだろうから」
これは、嫉妬のかわしかたを述べているものだと心は言う。
人間も自分を含めて動物である。動物である以上、そこには嫉妬が起きる。
そして、相手に与えられたものが自分が欲しているものならば、嫉妬は起きない。
動物に餌を投げ与えるならば、ただ喜んで食べるだけのことだろう。
けれど、動物には理解できない、しかしキラキラ光る真珠を与えるならば、豚は自分が理解できないことのために、しかし理解できないものが輝きを放っているということのために、嫉妬に駆られ、踏みつけて泥に沈め、攻撃してくるのである。
動物には、真珠ではなく、餌を与えるのがいい。
しかし、ふところに動物が食べる餌はなく、真珠しか持っていないのだとしたら?
もし、そこに踏みとどまって、動物に真珠を与え続けるなら、それは全く無意味な究極の自己犠牲だろう。
そうではなく、そこから立ち去るのがいい。立ち去って、真珠の価値がわかる、目利きの商人のところに行って、真珠を適正な価格で買い取ってもらうのがいいのである。