無意識さんとともに

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自分が自分に還る

私は、裸の王様を見つけたら、「どうして裸なの?」というような子どもだったらしい。

それが高じて、哲学科にも行ったようなものだ。

だから、哲学科は私にとってパラダイスだった。

「どうして裸なの?」と尋ねても怒るような人は哲学科にはいない。むしろ、そういう自分を歓迎してくれる。見回せば、哲学科の学生も教授も、裸の王様を無邪気に指差す子どもの成れの果てだったから。

けれど、社会に出たらなかなかこういうわけにはいかない。

あちこちにいてふんぞり返っている裸の王様に、そんな質問をしたら、石を投げつけられる。

私は、いつからか、疑問に思っても疑問を口にせず、みんなとうまくやるために、みんなにどう思われるか気にして、納得もしないのに、みんなの意見に合わせる大人になっていった。

けれど、無意識さんと出会って、自分が限りなく自分に帰っていく時に、また疑問に思ったことをそのまま疑問に思って尋ねる自分が堆積した泥の中から現れてきたようだ。

『ああ、そんな自分を出しちゃ、みんなに変だと思われちゃうよ、嫌われちゃうよ』

そう思って、なんだか胸がしくしくしたり、胃が痛んだり。

「いいじゃない、あなたがあなた以外のものにならなくていいんだからさ」

無意識さんが楽しそうに軽やかに言ってくる。