無意識さんとともに

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催眠!青春!オルタナティヴストーリー 205 はまっちの誕生日当日5

それから、僕とはまっちは山下公園、赤レンガ倉庫を巡った。

そして、また、動く歩道に乗り、降りたところで右に折れた。

そこには、みなとみらいのシンボルだったコスモクロック、大観覧車がある。

「神奈川に住んでいたけど、コスモクロックに一度も乗ったことなかったな」

「そうなんだ、じゃあ、初めてだね」

「そう、初めてがうえっちというのは何だかうれしいな」

僕はちょっと恥ずかしい気持ちになったが、とにかく、コスモクロックがあるコスモワールドに入り、コスモクロックのチケットを買う。

係の人にチケットを渡し、金属の階段を上がり、順番がまわってきたゴンドラにふたりで乗り込み、向かい合わせに座る。

ゴンドラはゆっくりと回転し、横浜を一望する景色が眼下に広がっていく。

ゴンドラが頂上に達する前に、僕はがさごそと持ってきた鞄の中を探った。

そして、紙の筒を取り出した。

「はまっち、17歳の誕生日おめでとう!」

「ありがとう」

「これは、僕からの心ばかりの誕生日プレゼント」

はまっちは僕が紙の筒を渡すと、不器用に結えられたリボンを丁寧に解き、紙を広げた。

そこに描かれていたのは、テーブルを向かい合わせに囲んで、はまっちと僕が談笑している姿。ふたりのテーブルの間には、イチゴが飾られた白い生クリームのケーキがあり、それぞれの隣のイスには、藤堂さんと福井君も座っている。

「私、こんなふうに笑ってるんだ、ほんとに幸せそうね」

「そうだね、あの時のイメージが心から離れなくて、それを絵に描いたらと思って、書いたんだ」

「でも、うえっちも私に負けないぐらい幸せそうだわ」

「そうだよ、すごく幸せを感じている」

僕はクリスマスの時のことなのか、今のことなのか、どちらとも取れる表現で答えた。

はまっちは、しばらく、絵を眺めいっていた。それから、裏をめくった。

『あなたと私の間は、遠くもなく、近くもなく、心地よい空気が流れる

あなたはあなたで、僕は僕で、

違っているのに、どこか似ていて、

あなたは行きたいところへ、僕も行きたいところへ、歩んでいるのに、

ふたりのリズムが重なる

それが何だかとてもうれしくて、幸せで、

無意識のなすがまま、ありのままのふたりで、自由の中、

風の中、それぞれのペースで流れていこう』

「素敵ね、ありがとう、うえっち」

「こちらこそ、ありがとう」

「変な言い方だけど、呼吸が楽になる、そんな幸せだわ」

「呼吸が楽になるそんな幸せ?」

「そう、こんな幸せがあるなんて思わなかった」

小学生の僕たちは誓い合いキスをしたが、今の僕たちはただお互いを見つめ合い、両手を取り合った。

ゴンドラが止まるまで、僕たちはただそうしていた。