無意識さんとともに

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催眠の現象学1〜説得とトランス

人を説得しよう、自分で自分を説得しようとすることほど、無意識の働きを妨げるものはないかもしれません。

説得しようというのは、言い聞かせたり、思い込ませたり、信じさせようとすることです。

結局、コントロールしようというのは、説得しようということです。

人を説得するにしても、自分で自分を説得するにしても、たとえうまくいったとしても一時的な効果しかありません。

それは、何かを無理矢理にねじ曲げようとしていることで、自分の思う方向に曲げたと思っても手を離せば戻ってしまうし、だからといって力を加え続けていれば、その何かは壊れてしまうのです。

往々にして、宗教や自己啓発がうまくいかないのはこのためです。

意識の力で人や自分を変えようとするのは、支配であり、暴力であり、虐待になってしまうのです。

しかし、なかなか、自分の力で人や自分を変えようという試みをやめることができません。

たとえ、頭でわかっても、やめられないのです。

というのも、意識はもう生まれつきそういうものだからです。

それならば、もう疲れ果てるまでやってみたらいいのかもしれません。

意識の力が尽き果てるまでやってみて、頭ではなく体がわかるまで、この試みを繰り返してもいいのです。

そうしたところで、罰するものは誰もいないし、そうすることが許されてもいるのです。

そうして、意識の力が底をつき、意識が破れたところで、無意識の力が現れてくるかもしれないのです。

無意識の力を一度味わってしまえば、もう意識の力で人や自分を変えようとすることはなくなっていきます。

穴の開いたバケツで水を汲むようなものだからです。

けれど、そんな、美味しい焼き豚を手に入れるために、豚小屋全体を焼くようなマネをしたくない人は、催眠をお勧めします。

人に催眠をしてもらってトランスに入り、それだけでなく、自分で自分に催眠をしてトランスに入れるようにするのです。

トランスに入るのは、意識のバケツで水を汲むのと比べて、この身のまま、無意識という大海の中に入っていくようなものです。

もう、汲むなんてことはせずに、体全身が水に浸るのです。

そうして、水に身を任せてしまえば、体がフワッと浮いて、そこで手足を動かせば、水面を好きな方向に泳いでいくことができるのです。

バケツで水を汲んでいたらそういうことができるようになるのはいつになるかわかりませんが、トランスに入れば、一瞬でそんなことができてしまうのです。