無意識さんとともに

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催眠の現象学92 DOWN TO EARTH〜大地に深く根を張る

英語に、DOWN TO EARTH(地に足をつけて、落ち着いて)という表現があります。
ON CLOUD NINE(有頂天になって、極度に幸福で)という言葉と対比表現になっています。

振り返ると、私は、前半生では、後者を求めてきたような気がしてなりません。

そうして、宗教にせよ、自己啓発にせよ、スピリチュアルにせよ、他のいろいろなことにせよ、何であってもその中で、確かに多幸感を得ることはできたわけです。
(誤解しないでほしいのは、宗教や自己啓発やスピリチュアルが必ずイコール多幸感を求めるものと言っているのではなく、私はそれらのものを通して、外に多幸感を得ようとしてきたということです)

ところが、そういう多幸感というものは、まさに雲のようなもので、手で掴もうとしても、次の瞬間にはもうないといった、実態のないものです。

そういう幸福は、小さな頃に見た夢の中のお菓子と同じで、食べても食べても飢えが満たされることはないのです。

いつかは、完全に満たされるそういう境地を求めていくわけですが、そういう境地はないんです。

食べれば食べるほど、もっともっとと飢えは大きくなっていくのです。

また、今、振り返って思うのは、それらの雲のような多幸感を与えてくれるものは、皆、自分の外にあるものです。

『もっと与えて、もっと甘い美味しいお菓子を与えて、私がもう飢えを感じることがないほどに』と言って、私は手を伸ばして、自分の外にあるものを掴み取ろうとしていたわけです。

その果てで、私は鬱になってしまったわけです。
そうして、さらに深く思い知ったのは、どんなに不思議な現象を体験しても、それらは私の鬱に対して、どうしようもすることはできないということでした。

甘い甘いお菓子は、ひと時、現実を忘れさせてくれますが、決して薬にはなり得ないのです。

お菓子を食べて、『自分はすごい』という夢に酔ったところで、目が覚めれば…ということです。

私はお菓子を捨てて、苦い薬を求め始めました。

そうして、苦い薬として、FAPに出会い、催眠に出会い、レイキに出会ったのです。
けれど、それらはただ単に苦い薬というだけではなく、本当は、自分を癒す薬というのは、外にあるものではなく、内にあるのだということを教えてくれるものでした。

その苦さは、外にあるお菓子の甘さを忘れさせるものでしたが、腹に入ると甘くなるのです。

なぜなら、癒しと力は十分すぎるぐらい、自分の内側にあると知らせてくれたからです。

だから、FAPも催眠もレイキも、決して外にある甘いお菓子というのではなく、自分の内側にある無意識のリソースを照らし出してくれ、そこに至る道を示してくれるものなのです。

それが、DOWN TO EARTHということです。

昇るのではなく降りるのであって、天に甘美さを求めるのではなく、地に深く根を張るということなのです。

それは、一見、苦いことのように思われますが、次第に、気持ちよく、腹の底から自分を活かしてくれるものになるのです。