無意識さんとともに

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AとBとC 第十七回〜神秘体験2

B1C

 

その後、ある夢を見た。

 

鬱蒼と生い茂った深い森にいた。薄暗く時折聞こえる鳥の囀り以外は、自分の呼吸の音しか聞こえない。足の裏に地面に這い出した木の根を感じながら、道を探していた。

 

薄暗闇の向こうの方にぼんやりと光が見えて、導かれるようにそちらの方にひかれて行った。すると、せせらぎの音が聞こえてきて、気がつくと足の踵を浸すぐらいの水が流れていた。

 

とにかく、光の方に歩みを進めると、光はだんだんはっきりと明るさを増してきた。せせらぎの音もはっきり聞こえてきて、流れる水のかさは膝ぐらいまでになった。

 

ちょっと躊躇ったが、『進むしかない』と思い、ざっざっざっと川の中を突き進んでいく。かさは腰ぐらいまで達していた。

 

光はこれ以上ないぐらいまで鮮やかになって、森の出口に来ていた。向こうには、緑色に苔むした泉があって、水がとめどなく溢れてその音が静けさの中でこだましていた。

『あの泉から溢れる水が川となって流れているのか、それにしてもこの水かさは…』

 

出口を出ると、泉があり、脇に白い衣を来た人が立っているのに気がついた。その人は、ただただ私をまっすぐに見つめていた。

 

瞳はそこが知られないほど澄んでいて、私の姿が映っていた。けれども、その姿は私ではありながら、この自分とは違う誰かのような気がしてならなかった。

 

その人は、泉から手のひらに水を汲むと、私に飲ませた。水は冷たく、心と体の奥深くまで染み通っていくように思われた。

 

『あの水を飲むものは誰でもまた渇く、しかし、この水を飲むものは心のうちで泉となり、尽きることのない水が湧き出だすだろう』

言葉を耳の外と内で聞いたような気がした。