白いローブを着た人が大きな美しい滝のそばに立っていて滝を見つめています。
滝からの霧雨のようなやわらかな水に包まれ、太陽光も照っていて、やさしくぼーっと光っています。
滝の音がします。
軽く目を閉じて前の方に向かって手のひらを上向きに差し出しています。
どこからか、さやかな鳥の声も聞こえてきました。
裸足で青と碧にきらめく河の水のなかに足を浸していて、足に心地よい水の触れる感じと底にあるなめらかな石のひんやりした感触を感じているようです。
その人の顔はふっと緩んで静かな微笑みが浮かびました。
唇が開いて、「あ…」
あで始まる何かの言葉をささやいているのが聞こえます。
静謐さとひとつになってしまったなかで、リズミカルな吸う息吐く息が鼻腔に微かに感じられます。
空を見上げると、空はどこまでも目に染みるほど青くまたこの光景すべてを包み込むように広がっています。
この深い静寂のしじまのなかで、脈打つ心臓の鼓動ひとつひとつが今、この世界に初めて生まれた音のように聞こえます。
そよかぜが吹いてきて、髪を揺らし、ほおをなでているのが感じられます
…
沈黙のうちに
空から何か白いものが舞い降りてきました
鳩が
肩のところに
そしてはらりと
白い薔薇に変わったんです
その瞬間に声が聞こえてきました
「私はあなたを喜ぶ」
「あなたを喜ぶ」
「あなたを喜ぶ」
いつのまにか
感じられる気がしたんです
白い薔薇が心の奥底でしっとりと光を放っているのが
いつまでもいつまでも