最初のうちは、人に頼ることはしかたない。
しかし、いつまでもそういうことに頼る必要はない、あるいはあらゆる場合に人に頼る必要はない。
というのは、私たちのうちには、無限のエネルギー源としての無意識がいてくださり、無意識の中に隠されたリソースと能力があるからである。
カウンセリングにしても催眠にしても、本当は人からエネルギーや癒しを得ることではない。自分の中にエネルギーや癒しの源を発見するきっかけを与えてくれるのが、カウンセリングや催眠なのである。
そういうことからすれば、カウンセリングや催眠の行き着く到着点は、自己催眠であるのかもしれない。
エリクソンは、ポリオや色覚異常などの数々の試練を自己催眠によって乗り越えたと言われている。
自己催眠とは、単にトランスに入って気持ち良くなることだと勘違いしている人もいる。そうして、そういうトランスに浸ることを、まるで薬物依存になることのように捉える人もいる。
もちろん、催眠と同じく自己催眠もそういう気持ち良くなる要素はある。けれど、それが目的ではない。
トランスに入り、無意識から、直接、エネルギーを得て癒され、無意識さんの助けで自分の元々、持っているリソースと能力を自由に用いることができるようになることこそが目的なのである。
これは全ての人の目的と言ってよい、カウンセラーやセラピストがカウンセリングやセラピーを続けるために自己修復をするために必要なだけではなく、クライアントが最後の仕上げとしてカウンセラーやセラピストから自立するために必要なだけでもなく、病気を持っていない人でも人生を自由に創造的に生きていくためにも必要なことである。
自己催眠には、シュルツの自律訓練法や自己暗示法などがあるが、この目的には物足りなく思う。
私が心からお勧めできるのは、エリクソンの弟子が書いた
「願いをかなえる自己催眠〜人生に変化を引き起こす9つのツール」(スティーブン・ランクトン 金剛出版)である。
最初、これは自己啓発の本のように思えたが、中身は遥かに深い。
一度、読んでみたが、よくわからなかった。けれども、二度目、中に書いてあるワークを実践することで驚愕した。
この本に書いてあるワークをすることで、人に催眠をかけてもらった深さか、場合によったらそれ以上の深さのトランスに入ることができたから。しかも、いつでも、どこでも、大した時間をかけなくてである。
そして、感じられる効果としては、まず、ここに書いてあるワークを組み合わせて寝る前にトランスに入るとストンと眠ってしまう、また途中や早期に目が覚めても、そうやって再びトランスに入ると、またすぐ眠ってしまうか、あるいは起きていても眠っている以上の休息が得られるのである。
それだけではない、この本のワークの自己催眠でトランスに入ると、集中力や創造力が明らかに上がって頭が良くなったようでもある。
まあ、トランスに入って、リソースと能力を用いることができるようになれば当然なのだが。
ただ、そんな効果は自分にだけ当てはまるのかもしれないと疑っていた。
ところが、ある人に軽い気持ちでこの本を薦めてみると、驚いた。
薦めた時には、その方は違う本を持っていてすでにそれを実践していると聞いていたので、ためらいつつだった。
けれど、その人にも私と同じような、いや私以上の効果が現れたので驚愕したということである。
この本を身につければ、一生モノだと思う。
ただ、この本はカウンセリングや催眠をまだほとんどやったことのない人にはお勧めしない。書いてあることがピンと来ないからである。
そして、カウンセリングや催眠をすでに知っている人にも、もしかしたら、ひとりでこれをマスターするのは難しいかもしれない。
だから、講座か勉強会の形でこれを一緒にマスターすることができればと思う。
そして、私が開業することがあれば、最終的にはクライアントにはこの本のツールをマスターしてもらって、送り出したいと考えている。