無意識さんとともに

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催眠!青春!オルタナティヴストーリー 166 友達との再会

佐伯さんと肩を並べて歩く。中学校が目に入ってくる。

「懐かしいな」

「そうだね」

「あの頃が1番だった」

「1番何だったの?」

「1番楽しかった」

「そっか、ジェットコースターみたいだったけど」

「そう、ジェットコースターみたいだった」

「高校はどう?」

「平和…かな」

佐伯さんの外見からもそれはわかる。

「良かったね」

「上地君はどう?」

「結構、忙しいかも。学校とバイトで」

「無限塾のチューターって楽しそうだものね」

「うん」

「さっきも言いかけたけど、私のことを今でも友達だと思ってくれる?」

「思っているよ、佐伯さんは僕の友達だよ」

見上げるようにして僕の目を覗いてくる。僕はちょっとたじろいだ。

「友達なら連絡をとってほしいな」

佐伯さんは聞こえるか聞こえないかの小さな声でささやいた。

中学校の裏門の前で、僕たちは立ち止まって話していた。

ここから佐伯さんの家はすぐそこだ。

「もしかして、時間ある?」

「あるかな…まだお昼だもの」

「それだったら、ファミレスに行かない?」

「いいの?」

「いいよ」

それから、僕たちはあまりに行き慣れたファミレスに、久しぶりに行った。

そして、あまりに座り慣れた窓際の席に、やはり久しぶりに。

日曜日だからか、店内は家族連れが多い、友達同士とかカップルはほとんどいない。

「ここも懐かしいな」

あらためて正面から見ると、佐伯さんの肌は抜けるように白い。

「よく来たね、ここに」

「…浜崎さんとはあの後、会ってる?」

佐伯さんは大きく息を飲み込んでから、言葉を一気に吐き出した。

「いや、会ってないよ。どこの高校に行ったかも知らない」

「そうなんだ、何で聞かなかったの?」

佐伯さんの今の外見に僕が慣れてきたからなのかそうでないのか、急に佐伯さんの輪郭が僕に鮮明に見えてきたようだった。

「わからない」

「浜崎さんも聞いてほしいと思ってたに違いないわ」

「そうかもしれないね」

「私だったら、そう思うわ」

「…だね」

隣のホームセンターの駐車場で、小学生の女の子たちがバドミントンをしている。

「楽しそうね」

「今度、バドミントンしようか?」

「今度っていつのこと?」

「そうだね」

そう言われて、僕は何だか言葉が出てこなかった。今度っていつのことだろう。

「上地君は、今でも、浜崎さんのことが好きなの?」

不意を突かれて、僕は驚いた。けれども…

「好きだよ」

「変わらないのね」

「変わらない」

「浜崎さんが羨ましい」

佐伯さんは、華奢な手で白いカップを持ち上げ、オレンジ色の液体を一口、飲んだ。