無意識さんとともに

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催眠!青春!オルタナティヴストーリー 175 約束

「私なんか、それとは違うドロドロだもの」

「ドロドロって?」

「素直なお子ちゃまにはちょっと話すのはためらわれるんだけど、まっいいか」

「僕だって高2だよ」

「それもそうね、彼氏は浮気し放題で、でも別れられないの」

「そう…なんだ。でもどうして?」

「それはちょっと18禁かな」

「18禁も何も、同じ歳じゃないか」

「そりゃ、そうなんだけどね。ちょっと刺激が強すぎるかも」

なんでも、心では彼氏のことが許せないけど、体の相性が良くて別れられないと。確かに、僕には刺激が強すぎる話だった。同じ高2でそんなことを経験している人がいるなんて想像できない。

「でも、本当にそうなのかな?それも一種の共依存で、体の相性うんぬんは後付けの理由じゃないの?」

共依存?」

僕は簡単に共依存を説明した。自分が共依存を散々体験したから、我ながら会心の説明ができたような気がした。

「うん、そう言われると、確かにそうかもしれないし、そうでないかもしれない。でも、私が上地君と浜崎さんの関係を羨ましく思うのはわかったでしょ?」

たぶん、それ以上、この話に突っ込んでもらいたくなかったのだろう。

「そうだね」

僕たちは、冷たくなったほうじ茶を飲み干した。

厨房の奥にいる大将を呼んで、それぞれお金を支払い、店を出た。

いつの間にか、暗くなりかけている。

脇が畑のだらだら道を並んで歩く。ふと、こんなふうに女の子と歩いていると、はまっちと歩いた小5の頃のことを思い出してしまう。

けれども、隣にいる女の子は髪の毛の長さも何もかも違う。

「今、浜崎さんのこと考えていたでしょ?」

「ええっ、どうしてわかったの?」

「何となく。ほんと、浜崎さんが羨ましいな。彼氏がそんなふうに私のこと考えてくれるなんて、想像できないもん」

僕は何て返事をしたらいいかわからなくて、押し黙った。

「あっ、そうだ。私に催眠かけてくれない?」

「えっ」

「約束したでしょ」

あれは約束だったのか。

「でも、場所がね」

「あんな話をしたから、ちょっと私にビビっているんでしょ?」

「いや、そんなことないよ」

「だったら、どこでもいいから、お願い。私の家でもいいわ」

と言われても、釘山さんの家は無理だった。中2の僕なら佐伯さんの部屋に何も考えずに行けたが、高2の僕には無理だった。ましてあんな話を聞いた後では。やっぱり、ビビっていると言えるのかもしれない。

「どうしてもというなら、公園とかでいいかな」

「それでいいわ」

「じゃあ、授業が早めに終わる日にね」

「ありがとう、助かるわ」

「と言っても、僕がするのは、催眠術じゃなくて催眠だよ。思っているものよりずっと地味なものだよ」

「いいの、いいの」

僕はとんでもないことを引き受けたような気がしたが、心に聞いてみると、大丈夫と言っている気がした。