無意識さんとともに

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催眠!青春!オルタナティヴストーリー 201 はまっちの誕生日当日1

1月30日当日8時40分、東村山駅の改札口に行ってみると、もうはまっちが待っていた。

ブルージーンズにライトブラウンのPコートを羽織っている。

いつの間にか、セミロングよりちょっと長くなった髪をポニーテールにしている。

僕を見ると、笑顔で手を振る。僕も手を振り返す。

「おはよう、うえっち」

「おはよう、はまっち。早いね」

「ちょっと眠れなくて、早く来ちゃった」

今になって眠気が襲ってきているのか、あくびを噛み殺しながら言うその言い方が可愛くて何だか心臓がどきんと高鳴った。

「とにかく、出発しよう」

「どこに行くの?」

「それはお楽しみ」

「って切符が買えないじゃない」

「とりあえず、西武新宿まで買おうか」

「OK」

僕たちは切符を買って、急行西武新宿駅の黄色い電車に乗り込んだ。

電車の中はガラガラだったので、僕たちは窓際の席に座った。

「こうして、電車に一緒に乗っていると、思い出すね」

「何を?」

「豊島園に行った時のこととか…」

僕たちは、あの逃避行の時に豊島園に行って、そこで初めてのキスをしたんだっけ。

僕はその時のことを思い出して、口をつぐんだ。

「何を思い出しているのかな?」

はまっちはからかい気味に尋ねてくる。

「何をって」

「あれよね、あれね」

「そう、あれ」

「私たちって、大胆だったよね?」

「そうだね、今じゃ信じられないけどね」

その後は、はまっちは再び眠くなったのか、うとうとし始めたので、僕はそのままにしておいた。

そう、忘れようとしたって忘れられない。

まるで、映画の中のワンシーンのような、観覧車のゴンドラの中でのファーストキス。

僕は、はまっちに恋して、ずっと今も恋し続けている。

これって、本当に幸せなことかもしれない、釘山さんが羨ましがっていたように。

そんなことをぼうっと考えているうちに、意識がなくなって、それからはっと目が覚めた。

どうやら、僕も眠っていたらしい。

気がつくと、重みを感じて、はまっちは僕の肩にもたれかかって熟睡している。

幸せそうな顔で、口がちょっと開いている。

僕は頬に指を当てたい気持ちに駆られたが、その代わりにはまっちの肩をつかんで揺らした。

「はまっち、もうすぐ降りるよ」

「うん、わかってる」

わかってると言いながら、中々、目を開けないが、そんなことを2、3回繰り返して、ようやく目を覚ました。

電車は西武新宿の、やや狭いホームに到着しようとしていた。

「さあ、行こう」

眠気から完全に目が覚めたのか、はまっちは僕の手を握って、まだ電車がストップする前に立ち上がった。