無意識さんとともに

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黎明〜鬱からの回復 7 ちぐはぐな共同幻想

(これはフィクションです。登場人物など現実のものとは関わりがありません。)

私は泣きながらも、祈り始めた。

「イエス様、光さんは小さな頃、クオヴァディスの漫画でクリスチャンが吊るされるシーンを見て、この世界は恐ろしいところだと心に傷を受けました。

本当に、あなたもそう思っておられるのですか?

この世界は恐ろしいところなのですか?

ヨハネ3:16に『神はひとり子を賜ったほどに世を愛された』とあります。

あなたはこの世界を憎まれているのですか、それとも愛されているのですか?』」

私は沈黙した。

腹の奥底からずしんと声がしたような気がした。

「私はこの世界を愛している」と。

「あなたは、この世界を愛しているのですね。

それなら、そうであるなら、あなたの愛を私たちに注いでください。

『完全な愛はおそれを消す』とあるように、あなたの完全な愛によって私たちのおそれを消してください」

電話越しの光は、いよいよ、声をあげて泣いている。

「私には、2つのゆりかごが見えます。

大きなもみの木の下に2つのゆりかご、ひとつのゆりかごには、ピンクの産着を着た女の子が、もうひとつのゆりかごには、青い産着を着た男の子がいます。

二人の子は、それぞれ声をあげて泣いています。

彼らを慰めるものは誰もいないようです。

けれど、ひと時過ぎた後に、長い髪の白い衣を着た人がやって来て、ふたつのゆりかごを軽く揺らします。

そうして、泣いている子たちの瞼にそっと手を触れます。

左手を女の子の瞼に、右手を男の子の瞼に。

そうすると、鳴き声はたちまち止んで、きらきらするような笑みが顔にこぼれます。

『もう泣かなくていい、苦しんだ涙の記憶さえも、これから後は甘い蜜に変わるだろう。あなたがた二人は、涙の福音ではなく、喜びの福音の種を蒔くものになるのだ。

あなたはこれを受け入れるか?』」

「はい、受け入れます」

私は答えた。

「光さん、あなたも受け入れますか?」

「受け入れます」

彼女は、何のためらいもなく、答えた。

「あなたがたは二人でひとりとなって、私のことを伝えるものになる。見よ、世の終わりまで私はあなたと共にいる」

その後、光も祈り出した。

けれど、それは打って変わって随分と違う感じだった。

「地は揺れに揺れ、荒れ果てている。

太陽は大きく膨らんで真っ赤で、熱い灼熱で空気が揺らいでいる。

人々は欲望に駆り立てられ、それが満たされないので、神に向かって呪いの言葉を吐いている。

ひとりの天使がラッパと剣を手に握り、天から降りてきて、空中にとどまる。

『見よ、裁きは近い。あなたがたは行って、福音を宣べ伝えよ。

けれど、人々は受け入れることなく、あなた方を迫害するだろう』

それでも、私は片割れと共に立ち上がり、出ていった。

福音を伝えたが、受け入れるものはいない。

人々は耳を塞ぎ、歯軋りして罵る、『私たちの苦しみを見よ、神はいない証だ』と。

それでも、私たちは伝える、人を救うために、裁くために。

そのために、私たちは神に力を与えられたのだから」

まるで、黙示録の世界だった。

私たちは、最初から対照的な存在だったのかもしれない。

それなのに、その食い違いを感じずに、いや感じても見ようとはせずにいたのかもしれない。

私と光は、その電話の後から付き合うことになった。