無意識さんとともに

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催眠の現象学4 無境界

無意識さんは、以前は、AでなくてBというように、いくつかある選択肢の中からこれというように答えを示すことが多かったような気がします。

ところが、最近は、「どれでもいいよ」と選ぶことを私に任せるように変わってきたようです。

無意識さんは透明な鏡で、そこに私の現在の姿が映ります。いや、正確に言うと、現在よりもほんの少しだけ本来の姿に近づいた私の姿が映るのかもしれません。

それは、今の自分とかけ離れた本来そのものの私が鏡の中に照らし出されてしまうと、私は今の自分と比べて、絶望してしまうからなのかもしれません。

無意識さんは、そういう思いやりで、少しずつ少しずつ、私にあったペースで私を導いて言ってくれているようなのです。

それと同じで、無意識さんの答え方も、私の状態に合わせて変わっていくのだと思います。

私がトラウマを多く抱えていた時は、癒される方向へ、傷つかない方向へ、AではなくてBというような導き方をします。

けれども、トラウマがなくなってきて、今度は成長が必要な段階になると、強くなる方向へ、自分というものの手触りをしっかり感じる方向へ、「どれでもいいよ」と言ってくるのです。
私は、正解はひとつとすぐに思ってしまいます。

今までは、癒されるために、自分にとって安全なひとつの正解を無意識さんに示してもらっていました。その時は、それで良かったのです。
しかし、そのひとつが、いつどこでも誰にでも当てはまるひとつのような気がして、そのひとつにこだわってしまった私を、限界から抜け出てもっと広い世界に招くために、今度は「なんでもいいよ」と言っているようです。
えっ、ついこの前まで、これがただひとつの正解だと思ってきたのに、「なんでもいいよ」というのは、かなりのショックです。
今までは、波も何もない、狭くて見渡せる、無意識さんが見ていてくれる心地よいだけのプールで泳いでいたのに、
波もあれば、限りもなくただ水平線が遠くに広がる海の中に招き入れられたようです。
「無意識さんはどこに行ったの?」

ちょっと不安になります。
けれど、どうも、無意識さんは、今は、果てもなく限界もなく、すべてを包み込んでいる海のようなのです。
「これはいい、あれはだめ」と自分の身を守るために判断してきたのですが(その時はそれで良かったのですが)、今は、私がいいと思うものもだめだと思うものも、等しく、海は包み、浸していることがじわじわと感じられてきて、私の心の境界を崩していっているようなのです。