無意識さんとともに

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催眠の現象学12 みんなビョーキ

「おれはお前たちとは違う」

これは、鬼滅の刃の冨岡義勇の言葉です。

彼は、自分がそこにいる他の人たちのような資格はない、その場所が相応しくないということをこの言葉で表しています。

けれど、その場にいた人たちは、全く逆の意味に言葉を受け取ります。

『おれはお前たちのような、そんなことをする必要のある人間じゃない』と、ある意味、傲慢な万能感に満ちた言葉として受け取るのです。

このギャップが彼を苦しめることになるのです。

だからこそ、冨岡義勇は、「おれは嫌われていない」とことさらに言うのでしょう。

あえて、そう言うのは、むしろ、自分は嫌われているのではないかと人の評価が気になってたまらないからかもしれません。

そして、さらに掘り下げれば、本当は人の評価ではなく、自分で自分をマイナスに評価している、自分で自分を嫌っているのです。

 

実は、私も、「私は人とは違う」と強固に思ってきたようです。

それが、時には劣等感になり、時には優越感になり、オセロの駒のように状況に応じて反転しますが、その思いが人の集まる場に自分を置くことを苦痛に思わせるのでした。

そして、やはり同じように、人の評価が気になってたまらない、その奥には自分を受け入れられない、自分が嫌いでたまらない気持ちがあるのです。

催眠臨床アセスメント講座の最後で、O先生が言われた言葉が胸に突き刺さりました。
「みんなビョーキ」
ちょっと聞くとひどい言葉のようで、最初は痛かったのですが、後では甘い言葉に変わりました。
みんなビョーキなんです、健康な人はいない、誰ひとりいないんです。
そう、気づいた時に、「私は人とは違う」という壁がまた、崩れ落ちた気がしました。
自分を嫌って、自分を受け入れられずに、人とは違うと言って人を避ける自分、そんな自分はビョーキなのでしょう。
けれど、みんなビョーキなんです。
そんな私のぐるぐるも、もうすでに赦されているんです。
そう思った時に、人と自分を隔てる壁がなくなったそんな気がしました。
みんなビョーキ、私もあなたもビョーキ、けれど、無意識にあっては赦されていて、私もあなたも、みんな楽しいビョーニンになれるのかもしれません。