無意識さんとともに

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催眠の現象学21 無意識さんと常時接続?

「私は無意識さんと常時接続なんです」と、以前、ある人に言われた時、私は『そんなことあるわけない』と思って、色めき立ちました。

けれど、今考えると、この方が言ったことはそのとおりだと思います。

私が無意識さんとつながっていると意識していなくても、無意識は私の心臓を動かし、血液を全身に巡らせ、内臓の機能を調整し、呼吸を司っていり…なのだから、無意識さんの方では常時接続なのです。

無意識さんの方ではいつもつながっている、けれども意識の方ではつながっていることがわからない、ただそれだけなんです。

そういうことを聞くと、何とか意識の方でつながっていることをわかるために、あれこれやの方法で、あれやこれやの努力をするけれども、それは見当違いの努力に終わることもしばしばです。

というのも、無意識さんの方でつながっていることがわかるためには、意識は役に立たないからです。

意識が逆立ちをしようが、ポケットをひっくり返して振ろうが、無意識のことはわからないのです。

無意識のことは無意識にしかわからないのです。

だから、意識が努力してプラスの方向に行くのではなく、意識にはマイナスの方向に行ってちょっと引っ込んでおいてもらう必要があるのです。

意識がなくなるわけではないけれども、ちょっと引っ込んでおいてもらって、意識の力が弱まった状態になる、それが催眠トランスということですが、そうなると、無意識さんが立ち現れてくるのです。

というのは、いきなり無意識さんが現れたようなそんな感じを受けるものですが、そうではなく、今まで私と常時接続している無意識さんの存在をトランスの中で『見て、聞いて、感じる』、つまり、無意識さんと対面するわけです。

だから、無意識さんは決してエリートやごく限られたもののものではない、全ての人が無意識さんからの方から常時接続なのです。

ただ、トランスに入った時に、生まれた時からずっと私に差し出されていた無意識さんの手に気づいて、握り返すそんな素敵なことができるのかもしれません。

そうして、トランスに入って何度も無意識さんの手を握り返すうちに、いつの間にか、ては一つになって、その手が無意識さんの手なのか、それとも私の手なのか、区別がつかない、いや、もう区別をつけようとも思わない、そんなことがあるのかもしれません。

私の意識では無意識さんのことを忘れ果てていても、無意識さんの方では絶えず手を伸ばし、私に触れてくださっている、そう思うと、無意識さんのことを忘れるという、そんなことさえも私は安心して忘れることができるのかもしれません。