無意識さんとともに

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催眠の現象学47 新陳代謝

「すべてのことは、時にかなって美しい」

 

同じような毎日を過ごさなきゃいけないと思ってしまうんです。

昨日、これだけ運動ができて、これだけ勉強ができて、これだけ課題をこなせたら、今日は、それと同じか、ううん、それ以上できないとおかしいと思ってしまいます。

そうして、無理をして頑張って、また頑張って、知らぬまに疲れが蓄積しているのに、そんな蓄積している疲れにも麻痺してしまって、まだ頑張っているうちに、運動も勉強も課題もだんだんできなくなってしまうんです。

どこからか声が聞こえてきて、でも自分の声で、『なんて私はだめなんだ』とか、『お前はほんとに怠け者だな』とか言ってきて、思わずくずおれて泣きたくなるんです。

 

『昨日は昨日、今日は今日、日々、あなたは死んでよみがえる。昨日のあなたと今日のあなたは、全然違う自分。どうして同じである必要があるの?』

そんな小さな声が自分のお腹のどこか底から、ささやいているんです。

先ほどの声とは全然別の、聴いているだけで、号泣したくなる優しい声。

もうひとつの声は言うんです、「そんな声に聞き従ってはだめだ、お前は完全な敗北者になるよ」と。

けれど、私は背中にずしりと感じる重荷にもう耐えかねてしまって、いつもいつもいつも誰かのために、同じ自分、立派な自分、正しい自分、親切な自分…という重荷を投げ出してしまうんです。

そうして、あのささやかな甘い声の方に近づいていくんです。

すると、昨日の自分と今日の自分が違っているどころか、一瞬ごとに、私は色と輝きを変えていくんです。

『ほら、白く輝くあなたも、黒く光を発しないあなたも、青く透明なあなたも、緑色で光に照らされるあなたも、すべてあなたで美しい』

『あなたは誰かのために美しいのではなくて、あなたはあなたのために美しい』

そんな声の方に、そんな声の方に、そんな声の方にどんどん近寄っていくと、あれほどがなり立てていたあのドスの効いたあの声はもう聞こえないんです。

『ああ、あの声は私を捕まえて生き血を吸うための、蜘蛛の巣だったんだ』

私はぼうっとした頭でそんなことを思います。

そうして、さらに進んでいくと、私はそんなことさえ、きれいさっぱり忘れてしまいます。

私はただただ、果てしない青空が広がる丘の上に出て、こんなに楽に呼吸したことがないぐらい楽にスースーと呼吸するんです。

『ああ、存在するだけで祝福って知ってた?』

そんな言葉を言われて、『ああ、前にそんなこと言われたら、ただただ、むかついただけだったかもな。でも、今なら、うん、わかる』

なんて思うんです。

足取りは軽く、どこまでも歩いていけそうです。