無意識さんとともに

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催眠!青春!オルタナティヴストーリー 45〜ウッドハウス

おばあちゃんは特に何かを聞いてくるわけではない。ただそこにいてくれるだけ。それがたまらなく心地よかった。ふと見ると、はまっちはすーすー寝息を立てて眠っている。ぼくもますますまぶたが重くなって、うつらうつらした。

「うえっちさんも少し眠ったら」

「はい」

ぼくは何とか返事をした。そうして、座布団に横になった。あたりは静かで冬の陽射しが差し込んでいた、下半身がこたつの温かさにおおわれて、鼻にかかる吸う息吐く息に気持ちを向けていると、眠りの世界に落ちていった。

目が覚めると、ぼくはハンモックに揺られていた。隣にもハンモックがひとつ、ポニーテールの女の子が揺られている。

辺りは緑の鮮やかな木々が茂っていて、冬とは思われない。生まれたてのような青い空には、鳥の群れが飛びかう。

ハンモックは白いウッドデッキにかかっている。

ハンモックから降りて見ると、白樺でできたウッドハウスにしつらえたものらしい。

「はまっち、はまっち」

ぼくはちょっとだけためらいがちに、はまっちの肩のところを軽くつかんで揺らすと、目を擦りながら、起きた。

「なあに?」

「はまっち、ここはどこ?」

「いつもの小屋じゃない」

「小屋?」

ぼくはいぶかしげに答える。

はまっちは何も言わずに、厚みのある茶色の扉をさす。

近寄って見ると、扉に蝉の抜け殻がついている。

『してみると、ここもあの小屋なのかな』

ぼくはちょっと頭が混乱してくる。

戻ってみると、はまっちはまた眠りこけていた。ぼくはもうためらうことなく、力強く揺らした。

「はまっち、起きて起きて」

「なあに?」

「変だよ、ぼくたちはこんなところにいたっけ?」

「いたんじゃないの」

「一緒に来て、一緒にあの扉を開けて」

「しょうがないなあ」

はまっちはちょっと不機嫌に答えた。

それでも、ハンモックから降りると、まだよろよろしていたが、ぼくについてきた。二人で扉の前に来ると、気のせいか、中から消毒液の匂いがしてくるような気がした。

「ほら、確かにあの小屋でしょ」

はまっちは当然のように言う。

ぼくは初めにひとりで扉を開けようとしたが、扉はびくともしない。

「やっぱりひとりの力では開かないみたいだ」

「わかった、わたしも押すから」

いっせのせで、二人で力を合わせて、扉を押すと、ギーギーと木と木が擦り合わさるような音がして少しずつ動き、ついには開いた。

扉が開くと、中にはあの木製のテーブルとイス、周りには棚があり、ラベルの読めない薬品が並んでいる。

「やっぱり、あの小屋でしょ?」

「そうだけど…見て」

ぼくは指さした…