無意識さんとともに

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催眠!青春!オルタナティヴストーリー 140〜U43 修羅場のようなそうでないような

何だかまずい展開になったような気がしてどぎまぎする。何がまずいのかは、頭でははっきりわからないが。

「わたしも座っていい?」

「うん、いいよ。みんなもいいかな?」

ポーカーフェイスを装いながら、ぼくは言う。

みんなは、佐伯さんも含めて、頷く。

はまっちは、ぼくの隣に座る。席を詰めて座ったので、窓際から、佐伯さん、ぼく、はまっちと身体を密着させて座ることになって、ぼくは頭がくらくらする。

「初めまして、浜崎といいます。佐伯さんは塾で一回あったよね」

「岡本といいます、3年生です、文芸部です」

「伊藤といいます、部長と佐伯さんと同じ2年生です、同じく文芸部です」

ふたりは型通りの挨拶をする。さすがに、佐伯さんは貝のように口を閉ざしている。

「うえっちと部長のことを呼んでいたけど、部長とは…?」

ふだんは大人しい岡本さんが何だか目をきらきらさせて言う。

「うん、小学校からの知り合い」

こんなラフに話すはまっちを久しぶりに見た感じがする。

「もしかして、ふたり、付き合っちゃっていたりします?」

伊藤さん、なんてことを言うんだ。

「うん、付き合ってるよ」

はまっちはこともなげに言う。

伊藤さんと岡本さんが顔を見合わせる。

「来たばかりで悪いんですが、私たち、そろそろ帰らないと」

岡本さんと伊藤さんは、あわてたように席を立った。

残されたのは、佐伯さんとぼくとはまっち。

この状況で何をどうしたらいいんだろう?

あらためて、席を移動して座り直す。

岡本さんと伊藤さんが座っていたところに、はまっちとぼくが座る。

はまっちはもう氷が溶けかかったアイスティーをストローで一口飲んだ。

「佐伯さんとお話ししたかったんだ」

「えっ」

佐伯さんは、顔を見上げて驚いたように言う。

「佐伯さん、うえっちのこと好きなんでしょ?」

「…ううん、そんなことない」

佐伯さんはぼうっとどこかを見ながら言う。

「隠さなくていいのよ、わたしもうえっちが好きだからあなたの気持ちはよくわかるの」

「はい」

「佐伯さんは自分の気持ちを否定する必要なんかないわ」

「どういうこと?」

急に佐伯さんの瞳に力が戻ったような、そんな気がした。

「わたしはうえっちが好き、佐伯さんもうえっちが好き。それでいいんじゃない?」

「ええっ、でもふたりは付き合っているんでしょ?」

「それね」

はまっちは、ぼくの方に向き直り、ぼくの目をまっすぐ見つめて言った。

「うえっち、わたしの方から言ったけど、今は、まだ、付き合うのはやめようと思うの。ごめんね」

ぼくは何も言えなかった。