無意識さんとともに

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催眠!青春!オルタナティヴストーリー 220 告白

僕も何だかうつらうつらしていた。

そうして、目を開けると、はまっちが目の前に座っていた。

「うえっちも眠っていたの?」

「どうやら、そうみたいだね。何だか喉が渇いた」

「私も。もう3時になっているわ」

確かに、腕時計を見ると3時を過ぎている。何だか時間の感覚がおかしな気がする。

はまっちはキッチンに行った。しばらくすると笛吹きケトルがピーっとなって、お茶を入れているらしい。

ガラガラ戸を引いて、はまっちが現れた。トレイには、以前も見たことのある渋い湯呑みと、青磁の皿に、先ほど買った和菓子が載せてあった。

僕は、もう一度、水羊羹を見た。下は普通の水羊羹だが、上の部分が濃紺の寒天なのかゼリーなのか、その中に細かな金箔で作った天の川が埋め込まれている。

「綺麗よね」

はまっちが僕の方を見る。

「本当にそう、綺麗だね」

僕は水羊羹からはまっちの顔に視線を移し変えて言った。

はまっちはちょっと顔を赤らめた。

「話があるんだ」

「うん」

はまっちの浴衣が目に鮮やかに飛び込んでくる。まさに、この瞬間のための浴衣なのだろうか?

「僕は、ずっとずっと、はまっちが好きだった」

「知っているわ。そして私もそう」

「そして、今もはまっちが、以前よりも好きなんだ」

はまっちは驚いたように僕をじっと見る。

「それで、付き合ってほしい。誓いとか約束ではなく、ただはまっちが好きだから」

はまっちはしばらく黙っていた。

それから、意を決したように口を開いた。

「うれしいわ…それで、うえっちが私を幸せにしてくれるというの?」

僕ははまっちの言葉にたじろいだ。でも、嘘はつけなかった。

「僕は、君を幸せにするとかそんなことは言えない。はまっち、君を幸せにするのは君だから、僕を幸せにするのも僕であるように。ただ、君と一緒にいたい、君は君のままで、僕は僕のままで」

「安心したわ。うえっち、あなたは大人になったのね」

「そうかな」

僕は照れ笑いをしてみせた。

「どんなにこの日が来ることを待っていたことか、私からも言わせて。うえっち、あなたと一緒にいさせて」

「ありがとう、もちろんだよ」

僕の心臓が早鐘のように打った。僕ははまっちの方に自分から近づいていって、はまっちに手を伸ばし、抱き寄せた。

僕ははまっちを優しく抱きしめて、それから静かに唇にキスをした。

2回目のキスだったが、けれども1回目のキスだった。

ローテーブルの上では、まだ手付かずの和菓子が2つのお皿に1つずつ、濃紺の空に無数の天の川が光を瞬かせていた。

僕と幸子は、ようやく、星の砂を漁り終えて、天の川の真ん中で出会ったのだと思う。