無意識さんとともに

https://stand.fm/channels/62a48c250984f586c2626e10

催眠の現象学161 再び3つのステージ〜⑶ ホールネス

(何度も書きますが、これはトラウマがかなり癒された人向けに書いています。)

ナラティブ(物語)を通してみると、人も物事も自分も単純に見えますが、

ナラティブを外すと、人も物事も自分も複雑なありのままに見えるんです。

 

ナラティブはサングラスなのかもしれません。サングラスのように、わかりやすい色をつけてくれるものなのかもしれません。

 

サングラスは、そうやって紫外線から目を守ってくれるんです。

ナラティブというサングラスも、外からの影響を排除して、ひたすら内にあるトラウマを癒すことに集中させてくれます。

 

ところが、ある時期が来て、ありのままのものが見たくなり、サングラスを外すと、太陽光線は眩しく目が眩みます。

場合によれば、今までわかりやすく単純に見えていたのに、まるでその視力を失ったように感じることもあるでしょう。

 

しばらくして目が慣れてくると、いろいろな形や色が目に飛び込んでくるんです。

その様子に圧倒されて混乱することもあるかもしれません。

外の世界や人間は、もはや善とか悪とか、支配者とか虚無とか光とかに分けられるものではなく、いろいろなものが入り混じったまだら模様に見えます。

 

自分の内側を見てみると、その時々で万華鏡のように表情を変えてその都度、新しい自分を発見するだけではなく、

その万華鏡の色の一片一片が、自分のパーツ(部分)として、それ自身の性格や役割や悩みを持っていることを見出すのです。

そうして、私はこの一片一片、いや単に一片一片というのではない、私のパーツであり、内的な家族を見出して、和解し、親しくなっていこうと思うのです。

それらは、私の一部であるという点で、私の全体ではないのです(脱同一化)。
また、同時に私の一部であるという点で、私とは別の外のものでもないのです(脱解離)。

脱同一化と脱解離のバランスの上で、私は、自分の内側のパーツたちとの関係を整えていけるのです。

このパーツたちとの適切な距離を保つことで(ブレンド化の解除)、元々、いつも変わらずいたし、いるし、いるであろう、本来の私(セルフ)が現れてくるのです。

その時、このセルフがからだに落とし込まれて、ホールネス(全体性)に向かっていくのです。

すなわち、不思議な言い方ですが、本来の私にただなるというのではなく、
もうすでにある本来の私が現れて、そのセルフのエネルギーによって、パーツたちとともに、傷ついた内なる子供達と共に、何も排除することなく一緒に、心も体も統合され、一切のかけのない、満月のような私(ホールネス)になっていくというのです。