無意識さんとともに

https://stand.fm/channels/62a48c250984f586c2626e10

黎明〜鬱からの回復 68 心からの答え

随分と、思い詰めていたのかもしれない。

私は、夢の中でも、『心よ、母親からの支配と邪魔を排除してください』と繰り返していた。

そうして、やはり、何の返事もないかと諦めた次の瞬間、場面が変わった。

母親は仰向けに寝ている自分の上にのしかかって、鬼のような形相で、私の首を絞めている。

夢の中で、私は思った。

『これは現実なのか、夢なのか…?』

呼吸ができなくなって、意識が薄らいでいく。

もうだめかと思われるその時、声が響いた。

「排除した!」

そうして、私は汗まみれになりながら、天井を見つめている自分に気がついた。

先ほどまでの恐怖はまだ、首に感じている。

けれども、それをはるかに上回る安堵感。

そして、何だか、自分が自由になって頭がクリアになった感覚。

してみると、私は母親の支配と邪魔から解放されたのかもしれない。

あれほど、手で触れるほどはっきり実感できた鬱感も全くない。

それから、半日ほどは、私はもう鬱など完全に治ったように感じていた。

久しぶりの幸福感が心と体に駆け巡り、誰かに、自分の鬱はもう治ったんだと言って回りたい気分だった。
けれども、夕方になるにつれ、また、馴染みの客のように、鬱は私にやってきた。

どうして…?

私は、けれど以前と違って、自然と心に聞いていた。
「心よ、どうして鬱はまた戻ってきたの?」
「まだ、支配と邪魔は残っているから」
「心よ、残っているって、もう排除したけど」
「繰り返し、支配と邪魔は排除する必要がある」
「心よ、繰り返しってどれぐらい?」
「毎日、朝起きたら」
「心よ、どれぐらいの間?」
「生きている限り」

ショックを受けた。一生の間、この支配と邪魔の排除をしなければならないなんて。

なんか騙された気がして、心が折れそうになった。

それでも、あの感覚が忘れられなくて、私は次の朝起きるとすぐに支配と邪魔の排除を始めた。

そうして、母親の支配と邪魔の排除を終えたが、心はまだ終わりではないと言う。

「心よ、他に支配と邪魔の排除をする必要があるの?」

「ある」

「心よ、誰からの支配と邪魔の排除?」

キリスト教からの支配と邪魔の排除」

「心よ、人からではなくて教えからの支配と邪魔の排除が必要なの?」

「そう必要」

「心よ、どうして?」

キリスト教も人が作ったものだから、教えを通して支配者が人を支配する」

そう言われたところで、すんなりとは理解できなかった。

それに自分はもうキリスト教を卒業したつもりでいた。

それなのになぜ?