一方的に言葉をつぶやくのではなく、人と言葉をやりとりして親密な関係を築くことに対する恐怖があるようなんです。
親密な関係を築くための対話の基礎となる言葉の使い方についてフォーカシング
胃の奥が痛む感じ
（この感じとしばらく一緒にいてみる）
おはよう
（うめくように）おはよう
（ちょっと痛みが和らぐ感じ 胃の奥に何かいるような）
そこにいるんだね…あなたは誰？
私？私はあらゆる言葉の元
（シャボン玉の容器とストローを手にしている、５、６歳のショートカットの女の子がちょこんと座っているような）
そのシャボン玉液で言葉をつくるんだね
そう、でも、今はシャボン玉を飛ばせないの
シャボン玉を飛ばせない感じ
あたりに壁があって、飛ばしても壁で壊れて、外に飛んでいかないもの
そうなんだ、シャボン玉が外に飛んでいかない
外からシャボン玉も入ってこないの、外からのシャボン玉と私のシャボン玉を交換したいのに
シャボン玉を交換したい感じ
（この感じを感じてみると、なんだか泣きそうな気持ちがしてくる）
壁に目があって、私を見張っているのよ
壁の目が私を見張っている感じ
今、壁に話しかけてもいいかな？
いいわ、ここで待ってるから
（いすに座って足をぶらぶらしている）
壁さん、そこにいるの？
俺はいつでもここにいる、何の用だ？
（壁に無数にある目が一斉にこちらをギョロリと見る…何か怖くて身がすくむ感じ）
ちょっと一緒にいさせてもらっていいですか？
………そんなこと言ったやつは今までいないが、頭がイカれているのか？
それは分かりませんが、一緒にいたいんです
…お前が耐えられるというなら、それもいいだろう
あなたはここで何をなさっているのですか？
くだらない言葉が飛んでいかないように見張っている
見張っている感じ
そうだ、くだらない、的外れの言葉を言って馬鹿にされたくないからな
馬鹿にされたくない感じ
それだけじゃない、言葉をやりとりしても、利用されるだけだからな
利用されたくない感じ
よくわかっているじゃないか、いい心がけだ
あなた自身はここにいてどんな感じなんですか？
俺か、俺のことはどうでもいいんだが、あえて言えば、飽き飽きはしてるかな
飽き飽きしている感じ
そうだ、こんなことをずっと前から続けているからな
馬鹿にされることがない、利用されることがないとしたら、何をしたいですか？
そんなことは考えることもできないが、ちょっと休みたい、疲れるからな
疲れて休みたい感じ
今、想像でやってみませんか？
俺を嵌めようって言うのか？
いや、そんなことはないです
まあ、いいやってみるか
馬鹿にされることも利用されることもないとしたら、想像するんだよな？
そう、馬鹿にされることも利用されることもないとしたら、どんな感じでしょうか？
目を閉じて、フーッと息をついて、休んで…
休んで
まぶたの裏を…無数の虹色の煌めきがこちらからもあちらからも風に運ばれている
無数の煌めきが風に運ばれている感じ
とても心地いい…こんな感じは生まれてこのかた味わったこともない
味わったこともないとても心地いい感じ
（私も一緒にその感じを味わってみる…からだが脱力していく感じ）
とても眠い
（いつの間にか、壁は眠ってしまった）
（また、来ますねと小声で言ってから、女の子のところに戻る）
（女の子はシャボン玉を飛ばし始めている）
誰へのシャボン玉？
お姉ちゃんへのシャボン玉、届くといいな
（シャボン玉がたったひとつ、風に運ばれて、壁を越えて外に飛んでいく）
また来るね、ありがとう
また来てね、約束だよ、お兄ちゃん
