無意識さんとともに

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催眠の現象学142 外なる支配者と内なる支配者の区別

外なる支配者と内なる支配者がいるのかもしれません。

外なる支配者の私に対する支配と邪魔は、「心よ、支配と邪魔を取り除いてください」と心にお願いすることによって断ち切ることができます。

けれど、外なる支配者からの支配と邪魔を取り除いても、なんだかすっきりしないことがあるのです。

それはトラウマのせいなのかとも思ってみるのですが、トラウマを取り除いてもなお、何かが残っているような気がします。

これこそが、内なる支配者、別名、批評家とか超自我と呼ばれるものです。

フロイトは、超自我を良心と同一視しましたが、ジェンドリンによれば、良心とは細き静かな声であって、「お前はダメだ」とダメ出ししてくるようなものは超自我であって、良心ではないと2つを区別しました。)

外なる支配者からの支配と邪魔を取り除けば、内なる支配者も自動的に消え去るものだと思っていましたが、どうもそういうわけではないようです。

この内なる支配者は、トラウマそのものと違って、小さな頃からある習性のようなものに近いような気がします。

そうしたくないと思っても、いつの間にか、自分で自分にダメ出しし、自分を責めてしまうのです。

そうして、支配と邪魔を取り除けば、トラウマ治療をすれば、そういうことは少なくなりますが、完全になくなることがないようなのです。

むしろ、逆に、この内なる支配者から完全に自由になれば、外なる支配者に対する恐れは完全にゼロになります。

(というのは、外なる支配者は、この内なる支配者という足場を使って、自分を支配し、邪魔してくるからなのです。この足場がなければ、外なる支配者はもうどうすることもできないのです。)

ちなみに、この内なる支配者が具体的に感じられるところは、からだであると言っていいかと思います。
内なる支配者は、からだに(正確に言えば、からだと無意識の境界領域)住みついているのです。
この内なる支配者ほど、煩わしいものはないのかもしれません。

だから、私たちは、この内なる支配者を取り除きたい、捨て去りたいと思いますが、

それはどうしてもできないばかりか、そうしようとすればするほど、内なる支配者は色濃くなってくるのです。

なぜなら、外なる支配者と違って、内なる支配者というのは、私たちの一部分だからです。

外なる支配者に対しては関係を断ち切ることが重要ですが、

内なる支配者に対しては対話をして、自分の一部分として認め、自分の味方へと変容してもらうことが大切なのです。

だからこそ、この内なる支配者を取り扱うには、フォーカシングが最適だと思われるのです。