47
深奥に星降る夜に結晶化せし何かこそ芳しきなれ
48
赤ちゃんの二枚の紅葉(もみじ)に自分の手を合わせたいそんな心模様
49
ざわめいて
たまらぬ時は
腹底(はらぞこ)の
地下水の音に
耳を澄ます
50
夜は海底で深海魚になりプランクトンの夢で眠りたい
51
52
宇宙人?という感覚がぬぐえなくてじっと鏡を見ている私
53
何があっても味方でいるよと自分が自分にしたあの約束
54
ああ大地に根ざしたいのは土より出て土に還るこのからだ
55
疲れて動けなくなるとそんなことありえないと不審がる私
56
ポジティブ思考もネガティブ思考も1枚のコインだとひねくれた私ここにあり
57
月明かりのもと心とからだの交差点をかけ抜ける青猫
58
無意識の原始スープの海中で透明のクジラが潮を吹く
59
初めにあった言葉より先にあるものそこに無限のいのちあり
60~62
怒りって醜いなあと怒りを嫌い怒りを怒ることのおかしさ
怒りの火口を降りるとマグマのなかに燃えぬ白薔薇
怒りがこの花の守護者と気づき不思議さに驚喜する愉快さよ
63
鳩尾の森の湧き水が荊棘をまろやかな土に変えるのです
64
人生の雑踏で交わす微笑みが心に星座を映し出す
65
体内の
伽藍堂にて
オルゴール
が共鳴する
聞く者もなく
66
寒き朝
激安ストア
に一緒に
買い出しに行く
肩がかわゆし
67
心の内と外のふたつの空でシンクロするふたつの太陽
68
コーヒーに
小さじ一杯
ユーモアで
温もり交わし
合う白い息
69
ダイジョーブ
と聞かれてだい
じょうぶ
やまびこの僕
は鼻がかゆい
70
ネグレクトせし母より般若の面は落ちて蒼き少女現る
71
頼りない
一歩一歩に
震えても
軽い私で
生きていこう
72
地球のみずみずしさに踊りだす体内の魚の化石がほら
73
カフェオレの
分子ひとつも
残さずに
味わい尽くす
快楽主義者
74
ああ早くクマの着ぐるみ脱ぎ捨てて春のワルツを踊りたいのに
75
僕という
水槽に水
を注げば
水中花まで
ふわりと開く
76
さりげない
喜びためた
貯金箱
抱えて僕は
冬を超えてく
77
地球へと
根を深く張り
銀河へと
枝を広げる
我は宇宙樹
78
妹と
食べしみかんの
酸っぱさが
笑いを誘う
冬の夜静か
79
もう会えぬ
人々載せて
夢の中
巡り絶せぬ
メリーゴーランド
80
茜さす
心の湖面
にきらめく
友がキャストの
無声映画よ
81
遊園地
の破れ口で
手を振って
声なく叫ぶ
少年は誰
82
地平線
に眠る僕に
朝陽射し
赤子の息が
まあるく芽吹く
83
冬さなか
震える指で
触れる時
そっと沁みゆく
泉のいのち
84
誰も彼も
宿る光は
奔流に
変わりて光
の海へ還る
85
竹と竹
根を絡まし
空へ伸ぶ
我も吸い込む
翠の薫風
86
至聖なる
幕裂け落ちて
顕れしは
冬枯れの木に
萌ゆる若芽
87
言の葉は
風に乗り
空へ舞い上ぐ
瑠璃色の鳥
88
凧は足を
地に向けて飛び
我は地を
踏みて心の
風と空に舞う
89
幼き日
白詰草の
冠を
指震えつつ
そっと飾れり
90
この心臓とあの心臓と血管でつながり、ネットワークをつくり、鼓動を重ね、コンパッションをやり取りする
心臓の
ネットワークに
ログインす
コンパッションが
胸を震わす
91
突き通す
刃も人も
心の傷も
光に溶けて
水彩画にて
92
大空に
ひとりさすらう
そっと呼びかけ
戯れ舞うよ
93
暗闇で
瞳こらせば
赤熱す
マグマ湛える
紅玉石よ
94
昔敵(むかしてき)
より贈られし
パンドラの
箱をひらけば
桜嵐舞う
95
死にし我
井戸の底より
よみがえり
生まれし我は
今ここに生く
96
読みにありし
青磁皿の
抹茶羊羹
今も離れず
97
短歌は
心の果実を
惜しみなく
ギュッと絞った
フルーツジュース