無意識は、無数の煌めく物語を創造する。
意識はたったひとつの物語を信じ込もうとする。そのただひとつの正しい物語によって、すべてのことやすべての人を判断しようとする。そうすれば、楽に生きられる気がするからなのかもしれない。
けれども、信じ込まれたひとつの物語は、良いものであっても悪いものであっても、いや最初は良いものであっても、硬直化し、信じている人を物語の中に閉じ込めてしまう。
その牢獄の中に閉じ込められた人は、囚人として朽ち果ててしまうのかもしれない。
だから、新しい物語が必要なのだ。
「新しい葡萄酒は新しい皮袋の中に、古い葡萄酒は古い皮袋の中に」
無意識は、新しい物語を私たちの中に注ぎ込み、私たちを新しい人に作り変える。
その作業が、カウンセリングであり、心に聞くことであり、催眠であり、FAPなのかもしれない。
そして、その新しい葡萄酒は正しいか間違っているかという基準によってもたらされるものではなく、カウンセラーとクライアントと無意識の相互作用によって、今ここ私において新しく創造されるのである。
