現代催眠(エリクソニアン催眠)は「催眠を解く催眠」だと思っている。
「この世はすべて催眠術」ではないが、世の中は意識をコントロールしようという催眠に満ち満ちている。
そういう催眠は、私たちの自由を奪うものでしかない。
マインドコントロールされて、近づいてはいけない人に近づかせられたり、信じてはいけないものを信じ込まされたり、買いたくないものを買わされたり…この世はすべて、私たちを支配しコントロールする催眠で満ち満ちている。
そういう催眠と戦うのが、現代催眠というのではない。
戦ったら、同じ催眠術と堕してしまうだろう。なぜなら、コントロールの奪い合いになってしまうから。
そうではない。そうではなく、そういう催眠を解くのが現代催眠なのだ。
私たちを支配しコントロールしようとする催眠から解いて、私たちに自由を取り戻し、本来の自分に戻してくれる、それが現代催眠である。
だから、それは、この世に満ちている催眠と違って、人をあっと言わせるようなものではない。
地味であるかもしれない。
「眼横鼻直」(目は横に鼻は真っ直ぐ)という当たり前のことを当たり前に、酔った状態ではなく素面へと覚める催眠である。
催眠のイメージからかけ離れているかもしれない。
けれど、自分がどれだけ、いろいろなものに欺かれてきたか知っているものにとっては、これほどありがたいものはない催眠である。