1
雨音に
耳を澄ませば
いつの間に
音(ね)を懐かしむ
我はひとり
心とともに
虚空を歩む
3
黒猫が
三日月照らす
からだ震わす
我が願いなれ
4
毎日の
流れのなかで
息をする
輪廻するもの
輪廻せぬもの
5
我という
時の河面(かわも)に
浮かぶもの
ただ密やかに
底にあるもの
6
エンジェルの
ごとくに生きん
10代の
夢の残骸
我を離れず
7
音もなく
紡ぎ出される
織物の
あなた縦糸
わたし横糸
8
生まれしは契りしゆえと知りし涙は今何処(いずこ)にありやと問うか
9
月明かり
開かずの扉
開かれて
枯れ果てし井戸
涙溢れる
10
月光に
浸し照らされ
石化せし
我がはらわたは
生身となりぬ
11
夜明け前
闇濃くなりし
瞬間に
鳥の合唱
空を揺るがす
12
あけそめの
空を飛び交う
あさいちの
小鳥の歌が
鼓膜のシャワー
13
ほあかりに
心照らされ
蓋はずれ
本来の我
輝きいずる
14
024/12/21
今まさに
生まれんとする
静寂の
音の縁取り
腹の奥底
15
2024/12/22
雪の中
震える殻に
こもりつつ
羽ばたく空を
夢見る鼓動
16
しらじらと
ひとり孤独に
思えども
天地万物
我と遊べり
17
2024/12/23
炭化せし
古き私は
抜け落ちて
新しき芽の
緑萌いづ
18
2024/12/24
鎧落ち
青空のもと
裸になりて
ただ感じたい
冬の空気を
19
2024/12/25
うっすらと
電気ヴェールが
ありまして
お腹の空で
微笑むのです
20
2024/12/26
夜明け前
木立を渡る
木霊(こだま)の指が
我が心臓を
演奏し出す
21
2024/12/27
万物を
産出する
そんな光が
寂しいなんて
思いもよらず
22
2024/12/28
トラウマを
空から見れば
我なる星の
山川谷と
感じる不思議
23
地球にも
山川谷と
トラウマが
あると気づいて
戦慄く(わななく)心
24
2024/12/29
指さきが
ハートの傷に
触れし時
花びらとなりて
歌口遊む(くちずさむ)
25
2024/12/30
空っぽの
器の中で
エナジーが
煌めきながら
揺蕩う(たゆたう)朝よ
26
2024/12/31
岩が裂け
幹が傷つき
流れ出る
水また蜜を
糧(かて)とせしもの
27
2025/01/01
ああ我は
ただの朝露
腹底(はらぞこ)の
大地に沁みて
生命(せいめい)となる
28
2025/01/02
パパパーン
翠(みどり)の鞘(さや)が
破裂して
待ちきれないで
ほら踊り出す
29
2025/01/03
名無し貝
硬き異物を
柔らかな
闇に孕みて(はらみて)
光を産まむ(うまう)
2025/01/04
30
ときめかす
香気が鼻を
くすぐって
フォーカスすれば
腹にオレンジ
31
2025/01/05
なめらかな
ツルンツルンと
せしものに
触れし赤子(あかご)の
つめの小さき
32
2025/01/06
土深く
埋もれて我は
吸い上げる
清冽(せいれつ)な水
星空高く
33
2025/01/07
まだ昏き(くらき)
音のかけらも
なき森で
我呼吸する
樹木となりて
34
2025/01/08
遅延した
満員電車
息せき焦る
波打つ肩に
止まるちょうちょよ
35
2025/01/09
燦々(さんさん)と
腹の虚空(こくう)に
向日葵(ひまわり)が
輝きいでし
澄み渡る朝
36
2025/01/10
憎しみは
泥にまみれし
我が赤児(あかご)
ああ愛しい(いとしい)と
懐(ふところ)に抱く
37
2025/01/11
魅入られし
黒曜石が
ちりぢりに
打ち砕かれる
我が根底で
38
2025/01/12
一艘(いっそう)の船
ただ湖を
流れゆく
漕ぐ(こぐ)ものもなく
風の吹くまま
39
2025/01/13
甘い雨が岩に沁みるように心が人は尊いと感じる瞬間(とき)
40
2025/01/14
何もなきお腹の宇宙空間で太極拳を舞う海月かな
41
2025/01/15
北極の永久凍土の中より発掘されし我の現し身(うつしみ)
42
エックスの
文字が行き交う
往来で
はねられまいと
からだ竦める(すくめる)
43
心の破れ口からそうっと入る風にこんにちは
44
ともすれば
私をちょっと
脱ぎ捨てて
リライフしたい
そういう気分
45
ハンバーグをポクポク食べながら私が私を楽しむ冬の日
46
夕焼けが
瞳に灯る(ともる)
電車内
小鳥の息を
もらすものあり