無意識さんとともに

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催眠の現象学118 この世はみんな敵ばかり

「ですから、この世をも、この世にあるものをも愛してはいけません。それらは時が来れば滅び去るものだからです」

私がこの世界や人に対する敵意を持っているのはキリスト教の影響なのかもしれないと思っていた。

けれど、キリスト教を卒業しても、もう悩みは全てなくなったと思っていても、こんな夢を繰り返し見るところからすれば、キリスト教の影響でそうなったのではなくて、そんな自分がキリスト教のそういう世界観に惹かれていったと言う方が正確らしい。

ともあれ、以下は、朝、夢を見て、起き抜けで書き留めたものだが、こういう自分の中の敵意をどうにかしようというのが、どうやら、今の課題になっているようだ。


夢を見た。
どうやら、似た夢は繰り返し見ているらしい。
(以下は夢の中の話です。現実とは必ずしも一致しません)

仕事で難題を渡され、私の所属しているチームは残業になっている。

何とか、一段落つくと、皆は何だかこそこそと話し出している。

『また、私以外のみんなは飲みに行くのだな』

私は部屋の片隅でそんなことを考えている。

ところが、ひとりの恰幅のいい、愛想の良い同僚が私に話しかけてくる。

「たまには、みんなと、一緒に飲みに行きませんか?」

いつもはそう言われても必ず断るのだが、つい、行くと言ってしまった。

やはり、いつもいつもひとりでいるのは寂しいものだ。

気がつくと、私が密かに慕っている女性も行くらしい。

もしかしたら、少しは話せて親しくなれるかもしれない。

居酒屋につくと、残念ながら、彼女と私は遠く離れた席になってしまった。

彼女はドア付近のグループにいて、私はもっと奥のグループ。

みんなは最初、和やかにお酒を飲み出した。

私はふだんはお酒を決して飲めないのだが、雰囲気に飲み込まれて飲み出した。

頭がぼうっとして、少し酔っているらしい。

すると、もうひとつのグループの方から、私の悪口が聞こえてくる。

「お高くとまりやがって。だいたい、あいつはいてもいなくても、変わりゃあしねんだよ」

悪口は続く。ついには、私の出自のことまで言っているようだ。

しかも悪口は、その女性のすぐ近くの同僚が言っているらしい。

みんなは、向こうもこちらも、うん、うんと頷くばかりで、誰も言い返してくれるものはいない。

私は針のむしろに座っているような気になり、それから、怒りが少しずつ吹き出してきて、止められないようになった。

気がつくと、そんなことを言っている、背が小さな同僚を締め上げて、柔道技で投げ飛ばしていた。

一斉に、みんなの非難の視線を浴びる。

出ていけばいいものを私はその視線に凍りついて、朝まで、居酒屋にいてしまった。

お金を払って、みんなは互いに挨拶して出ていくが、私に挨拶するものは誰ひとりいない。

『あんなことをしたのだから当然だ』と思いながらも、心がキリキリと痛む。

気がつくと、恰幅のいいあの男性だけが私と共に歩いている。

何も言わず、私に笑顔を向けるその男性に、私は言う。

「もう、こんな会社にはいられない。今すぐやめるしかない」

男性は、「まあ、まあ」と小さな子を宥めるように言う。

私は、この男もはっきりした態度を取らないが、私の敵だと思う。

いつの間にか、私はまだ陽が昇らない街を一人で歩いている。まだ、とっぷり暗い。

私はひとりだ。

すると、居酒屋にいた同僚の女性が自転車に乗って通り過ぎる。

通り過ぎる時に、「⚪︎⚪︎ちゃんはあなたのこと好きだから、付き合ってあげてね」と言う。

私は不可解な気持ちになる。

そんなこと言ったって、あの場で私の味方になってくれる人は、男性も女性も誰もいなかった。

みんな敵だ、私が好きなあの女性も含めて。

心配しているかと思って、母に電話しようと携帯を取り出しかけるが、いっこうに電話番号が思い出せない。

登録してある番号にかかって、後輩の声がする。

私は間違って電話したことを詫びて、そのまま切る。

私は釈然としない気持ちを抱えたまま、誰もいない町を歩いていく。