無意識さんとともに

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2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

聖人A 49 その時

僕は、3時50分に、あの40代の女性と校舎棟で待ち合わせた。 もうそこには、10人ぐらいの人たちがいたが、どう見ても学生には見えなかった。この集いに来た人たちなのだろう。 山田さんはその人たちの群れの中にいて、僕を見かけると、にっこり微笑んだ。 …

催眠!青春!オルタナティヴストーリー 174 会話

釘山さんと、窓際の席に向かい合って座り、一番安いシンプルなラーメンを注文する。 ここは高校の目と鼻の先にあるから、うちの高校生が立ち寄ることも多いし、昼にこっそり学校を抜け出して来るものもいる。 けれど、今は、がらんとして僕たち以外は誰もい…

楽になりたいすべての人に贈る初心者講座 第9回 スクリプトって何?

「ところで、催眠喚起をしてトランス状態に入り、無意識の種となるメタファーを組み込んだお話をすることを、私はスクリプトまたはインスタントスクリプトと言っています」 「スクリプトとインスタントスクリプトの違いは何ですか?」 「スクリプトは前もっ…

聖人A 48 鬼ごっこ

「失礼ですが、ちょっとよろしいでしょうか?」 僕は緊張で身を固くした。 「はい」 「私は、カトリックの聖霊刷新グループのものです」 「聖霊刷新?」 「新たな命を求めて、聖霊の新しい風を追い求める運動です」 そういうカリスマ的なグループがカトリッ…

催眠!青春!オルタナティヴストーリー 173 永遠の初恋

それから、僕は貸し出し業務のある時はもちろんのこと、昼休み、そして無限塾でのチューターのバイトがない日は、放課後も図書室と司書室に出入りするようになった。 知らない間に、はまっちの姿を目で追ってしまう。 廊下であったあの時は大人っぽくみえは…

聖人A 47 聖体拝領

「じゃあ、これでいよいよ、聖体拝領することができますよ」 主任神父はあっさり言った。 「よかったね、これで望みがかなうね、佐藤君」 大橋さんも、満面の笑みというのではないが、一応、笑顔を見せている。 I教会は大きな教会なので、ミサは1日に何回と…

催眠!青春!オルタナティヴストーリー 172 邂逅

皆が一斉に僕を見る。 そうして、皆の視線のひとつだけに僕の視線は集中する。 僕たちは、一瞬、5、6メートルの距離を置いて、見つめ合った。 僕には、その瞬間が永遠の至福に感じられる。 そう、僕は、後ろ姿でもわかったのだ、僕が座っているより前の方…

聖人A 46 改宗式

最初は、生まれてからの自分の罪を紙にしたためようと思ったが、どうしてもまとまらない。 赦しの秘跡は、聴罪司祭として有名なK神父がすることになっていた。 時間になって、I教会の御堂の後ろに並ぶ。 どんなことをどこまで言おうかと、僕は悶々としたが、…

催眠!青春!オルタナティヴストーリー 171 図書委員

学校と無限塾のチューター、催眠の練習に明け暮れて、僕の高校での最初の1年間は過ぎていった。 はまっちを学校の廊下で見かけることはあるけれど、はまっちの視線を感じることもあるけれど、僕たちは会話を交わすこともなかった。 再び、桜の花が舞い散る…

聖人A 45 試練

半年間、僕はI教会の午前のミサの後、大橋さんと教会の一室でカテキスムの勉強をした。その後、大概は大橋さんと食事をして別れる。 家と元いた教会では、結構、大変だった。 母親は根っからのプロテスタントなので、僕がおかしくなったと思ったらしい。 牧…

催眠!青春!オルタナティヴストーリー 170 男友達

僕は、自分の意に沿わない高校に入学したためなのか、中3の時の友達に会うのを避けていた。山田君と深淵君に誘われても、何かしら理由をつけて断った。山田君は私立の大学附属、深淵君は同じ都立でも僕よりレベルの高い高校に入学していた。 けれど、イエス…

楽になりたいすべての人に贈る初心者講座 第8回 変わること

「そうやって、無意識さん漬けになって、意識と無意識が出会って統合されていくと、本当の変化が起きてきます」 「えーと、本当の変化ってことはそうでない変化があるってことですか?」 「なかなか鋭いことを言ってきますね」 「そうでもないです」 「えー…

宗教というタイムカプセル

昔、タイムカプセルというものが流行った。 カプセルに、記念になる品物とか、未来の自分への手紙とかを入れて、土の中に埋める。そうして、10年後とかに取り出すというものだ。 宗教というのは、タイムカプセルかもしれない。 他の宗教のことはわからないが…

聖人A 44 改宗へ

僕は、それから、自分でもわからないままに、四谷のI教会に足を運んだ。 ミサに出たのではない。 人のいない時間に行って、ただ長椅子に座っているだけだ。 けれど、毎回、毎回、赤ランプのところから力を感じる。 僕の心は決まっていた、あとはそれを実行に…

催眠!青春!オルタナティヴストーリー 169 変容

さっそく、次の日曜日、僕は神楽坂さんと佐伯さんと、かわるがわるイエスセットを使った催眠喚起を練習してみた。 まず、神楽坂さんと佐伯さんに、僕が実演してみた。それから、神楽坂さんが佐伯さんに、佐伯さんが僕に…という具合にやっていく。 神楽坂さん…

楽になりたいすべての人に贈る初心者講座 第7回 無意識さん漬け?

「そういうわけで、水泳が上手くなりたいなら、指導を受けつつも、とにかくできるだけ水の中に入って泳ぐことが大切なように、楽になりたいなら、同じように、指導を受けつつも、無意識さん漬けになることが必要なんです」 「無意識さん漬け、何ですか、それ…

聖人A 43 決心

「あの赤いランプのところには、ホスチリウムが置いてあるのです」 「ホスチリウム、何でしょうか?」 「キリストの体に変化したホスチアを入れておく場所です」 「ホスチアっというのは?」 「薄いウエハースみたいなものです、ほら、プロテスタントでいう…

催眠!青春!オルタナティヴストーリー 168 さらに

はまっちと話したのは、それっきりだったが、それでも、はまっちが同じ学校にいるっていうことがわかっただけでも、何だかとてもうれしかった。 どこか遠くで生きていて、ただ同じ空気を吸っているということだけで自分を満足させるということと、同じ学校に…

「心に聞く」ステップバイステップ2−5心に聞くって何のため?

心に聞くって何のためにするんだろう? なんかすごいから、かっこいいから、そんなこともあるかもしれない。 「心よ、ねえ、あなたに聞くって何のためにするの?」 「それは、シンプル、凪になるためだよ」 凪、つまり風もなく波もなく、ざわめきもなく、静…

聖人A 42 赤いランプ

僕は、教会の皆の反応の薄さに、心底、がっかりした。 そんな時に、僕より遅れて帰国した大橋さんから連絡があった。 「一度、会いませんか?四谷のI教会の御堂で、待ち合わせましょう」 何でわざわざ、教会の御堂で待ち合わせを言ったのかわからなかったが…

催眠!青春!オルタナティヴストーリー 167 廊下で

ファミレスで、その後も佐伯さんと話し続けたが、何だか話は盛り上がることも深まることもなく終わった。 何だか、核心に触れないで、周りをぐるぐる回っている感じだった。 僕は、その後も、学校と無限塾、そして新たに日曜日は、神楽坂さんの家で午前10時…