そうして、春が来た。 ぼくとはまっちは小学６年生になった。 もしかして、同じクラスに戻れるんじゃないかと期待したけれど、そんなことはなかった。もうみんなは、あのことも忘れて、ぼくたちを特別な目で見てくることはなかった。 ただ、家では相変わらず…

この頃、何も彼も無意識さんに聞いてそのとおりにやってみるという生活をしてみる。 無意識さんの言うことがベストだと身に沁みて分かってきたからだ。 まず、朝、布団の中で、まだ暗い誰も起きない時に目が開いて、最初にするのは、無意識さんに話しかける…

その後も、ぼくたちは玉美おばあちゃんの家に何回か行った。けれども、ぼくたちは夢を見て、ふたりの赤ちゃんに会うことはなかった。 それでも、ふたりの、ぼくとはまっちの左の足首にはミサンガがしっかりと結わえ付けられていた。 ぼくたちはおばあちゃん…

自己犠牲と他者犠牲はワンセットである。 相手のために自分を犠牲にして相手に尽くす、自分のために相手を犠牲にして自分を優先する、どちらも自分の人生を生きていない。 すると、自己犠牲が自分の人生を生きていないということはわかるが、他者犠牲は自分…

統一教会のことが、日々、話題になっている。 そのようなカルトを見ると明らかだが、支配者は人を、怒りと性欲と万能感の罠で捉えようとする。 怒りについては、他の記事に詳しく書いたが、怒りは罪だという嘘を吹き込み、本来、怒りという支配者との絆を断…

左側の赤ちゃんは青い服、右側の赤ちゃんは緑色の服を着ていた。 そうして、ふたりの赤ちゃんは力いっぱい泣いていた。誰かを求めているようだった。 「ママを探しているのかしら？」 「でも、母親はどこにもいないようだよ」 「抱き上げていい子してあげな…

以前は、自分が今にも爆発しそうな火山のように感じたものだ。心の奥底に、マグマが燃えたぎっていて、いつでも吹き出せる状態だった。 そうして、親の一言で、自分がどんなに抑えようとしても、もうマグマが地の底から身体の中を通って、勢いよく溢れて、爆…

「猫の声？それとも赤ちゃんの声？」 「赤ん坊の声じゃないかな」 流されながら、ぼくたちはそんな会話をしていたが、だんだんと赤ん坊の声は大きくなっていった。 「わたしたちを呼んでいるみたい」 「ぼくたちを？そんなことってあるかな？」 そうは言って…

イエスは二度殺された。 一度目は、十字架の上で支配者や宗教的指導者によって。 二度目は、キリスト教という教えの中で弟子たちによって。 イエスは人間である。 キリスト教は、イエスが神であると教えるが、ここに欺瞞がある。 人間が神のはずがないからだ…

小屋の中に、植物が生い茂って、いろいろな花も咲いている。花の名前はわからないが、あれはハイビスカス…左側に赤い花がいくつかかたまって姿を見せている。 「植物園みたいね」 「植物園なのか、南国の楽園なのか」 「ステキ」 「とにかく入ってみよう」 …

記憶にあるのは、怒りは罪であり悪であると吹き込んだ上で、こちらが平静で怒らないでいようとしても、 「なんか、怒っているでしょ？」「いや、怒っていない」「その言い方が怒ってるみたい」「いや、怒っていないよ。どうしてわかってくれないの？」 「な…

怒りを罪だと教える教えは、キリスト教の中にも仏教の中にもあり、宗教でなくてももういたるところに転がっている。 けれど、これは支配者が張り巡らす罠であり、巧妙な嘘であると思う。 支配者は支配されている人がどうなろうと何も感じないが、ただひとつ…

昔、支配者に対して、キリスト教の教えに従って、何をされても、左の頬を打たれても右の頬を出し、果ては相手を徹底的に許して自分を犠牲にしたら、ある日、相手が自分の非を認めるんじゃないかと思ったが、そんなことはなく、私がボロボロになって鬱になり…

支配者（大嶋信頼先生によると、人間は「虚無」「光の人」「支配者」に分かれる。詳しくは、「支配されちゃう人たち」を参考）は、後悔しない。 支配者はいじめたり、虐待したり、差別したり、裁いたり、罪悪感を与えたり、コントロールしたり、自由を奪った…

まあ、ぶっちゃけ言うと、生きるも死ぬもその人の自由意志だと思っている。だから、自分の意志で自分の生死を決めようとしている人にありきたりの言葉で口をはさめない。 ただ、自分の場合、３度未遂したが、今、思えば、それがはっきりした自分の自由意志か…

支配者のことが気にかかるのも、まだ支配者に支配されているということなのだろう。 「人々は、イエスを無理矢理、自分たちの王にしようとしたが、イエスが断ると、町のはずれにある崖の上につれて行って、崖から突き落とそうとした。 しかし、イエスは群衆…

おばあちゃんは特に何かを聞いてくるわけではない。ただそこにいてくれるだけ。それがたまらなく心地よかった。ふと見ると、はまっちはすーすー寝息を立てて眠っている。ぼくもますますまぶたが重くなって、うつらうつらした。 「うえっちさんも少し眠ったら…

はまっちはガラガラと引き戸を開けて、自分の家のように入っていく。いや、自分の家よりも自分の家みたいだ。 「おばあちゃん、いる？」 「はあい」 奥から声がする。 ちょっと足を引き摺りながら、80歳ぐらいだろうか、おばあさんが出てくる。にこやかな、…

家に帰ると、ぼくの誕生日だというのに、母と父は声をあげて喧嘩をしていた。どうやら、父のやっていた事業がもうだめらしい。 『まあ、いつものことだよな』とぼくは心の中でクールにつぶやいてみた。すると何だか、ちょとした動揺が嘘のように消えてなくな…

ケーキは生クリームが塗られている白いケーキで、チョコレートで『うえっちにしあわせあれ』と書いてあった。 「なんだろう、しあわせあれって？」 はまっちは自分を指差して言った。 「わかるでしょ？わたしよ、わたし」 「名前？」 「えっ、そういう意味？…

ほどほどにやるということが、どうしてもできなかった。勉強をやれば、見当違いの努力をして、勉強した科目ほど点数が悪いという不思議。ゲームをやれば、のめり込みすぎて燃え尽き、ついにはいつも投げ捨ててしまう。 また、何かが気になると、今、違うこと…

何だか落ち着かない感じでじっと待っていると、はまっちが白いトレイに料理を載せて入ってきた。 「ジャーン、すごいでしょ」 テーブルの上に置きながら、はまっちは得意そうな顔で言った。 唐揚げ、シーザーサラダ、飲み物、そしてオムライスだった。ぼくは…

スクリプト小説を書いている。 これってほんとにスクリプトなの？としばしば思うのだが、私が書いているという実感がまるでなく、反対に無意識さんが書いているという実感しかないのだから、無意識さんが書いているという意味でスクリプトだと言っていいのか…

約束の時間に、坂を上ったところにあるはまっちの家に行った。 かなり心臓がバクバクした。はまっちの親がいないのはわかっていたが、すぐ隣にクラスの女子の伊沢さんの家があったからだ。 辺りを見回してから、インタホーンを押す。 「はーい、入って」 と…

FAP Pre上級講座でもシェアさせてもらったことについて書いておこうと思う。 講座内でのセッションではずっとセラピスト役をやらせていただいたのだが、最後のセッションでは、クライアント役をやらせていただいた。 ジェノグラムやら支配者の特定やらで、時…

家に帰ると、いつものように、『おかえり』という言葉もなく、夕飯の時間になっても食事の準備がされることもなかった。 ただ、テーブルにクラッカーが置いてあるだけだった。 ぼくはいつもなら不貞腐れ、自分の境遇を呪ったもののだが、左胸にあてたはまっ…

昨日、Pre FAPの講座に出た。 例によって、いつも何かの妨げがある。今回も御多分に洩れず、朝から左足首が痛かった。痛くて瞑想のいつもの座り方ができないので、あぐらで済ませた。 講座自体はとても面白かったが、特に印象的だったのは、最後の方で他の方…

その後、公園の真ん中にあるブランコが空いたので、ぼくとはまっちはブランコに移動して腰かけた。はまっちの顔は涙でぐしゃぐしゃだった。ぼくはその顔も美しいと思った。そっとハンカチを差し出すと、顔を覆うように涙を拭いた。 「恥ずかしいな」 「恥ず…

昨日、大嶋メソッド（現代催眠）と宗教やスピリチュアルとどう違うか尋ねられたので、参考にここにも書いておきたい。 以下はもちろん、公式なものではなく、私の私見にすぎない。 まず、第一は、宗教やスピリチュアルは、いろいろな程度はあるが、疑わず全…

はまっちの誕生日がもう目の前だった。何とかしてはまっちに会ってプレゼントを渡したい。 僕は高村君に相談した。高村君は、隣のクラスの花岡さんに話してみると言う。 それで、決まったことは、はまっちの誕生日は日曜日なので、日曜日に花岡さんがはまっ…